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源氏物語「若紫・北山の垣間見(尼君、髪をかきなでつつ〜)」のわかりやすい現代語訳と解説

著者名: 走るメロス
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源氏物語『若紫・北山の垣間見・若紫との出会ひ』の原文と現代語訳を徹底解説!

このテキストでは、源氏物語の一節「若紫」の「尼君、髪をかきなでつつ〜」から始まる部分の原文、わかりやすい現代語訳・口語訳とその解説を記しています。「北山の垣間見」や「若紫との出会ひ」とする題する書籍もあるようです。

本文のあらすじを知りたい人は、「本文をあらすじにまとめました」を参照してください。





前回のテキスト

源氏物語「若紫」(尼君、『いで、あな幼や〜)の現代語訳と解説


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「若紫・北山の垣間見④」完全攻略一問一答!テスト対策はこれでOK!


源氏物語とは

源氏物語は平安中期に成立した長編小説です。一条天皇中宮の藤原彰子に仕えた紫式部が作者とするのが通説です。


原文(本文)

尼君、髪をかきなでつつ、
けづることをうるさがり給へど、をかし御髪や。いとはかなうものし給ふこそ、あはれにうしろめたけれかばかりになれば、いとかからぬ人もあるものを。故姫君は、十ばかりにて殿に後れ給ひしほど、いみじうものは思ひ知り給へりしぞかし。ただ今、おのれ見捨て奉らば、いかで世におはせむとすらむ。」








とて、いみじく泣くを給ふも、すずろに悲し。幼心地にも、さすがにうちまもりて、伏し目になりてうつぶしたるに、こぼれかかりたる髪、つやつやとめでたう見ゆ

生ひ立たむありかも知らぬ若草をおくらす露ぞ消えむそらなき

※解説:尼君が詠んだ歌




またゐたる大人、
げに。」

うち泣きて、
初草生ひゆく末も知らぬ間にいかでか露の消えむとすらむ

※解説:横にいた女房が詠んだ歌








聞こゆるほどに、僧都あなたより来て、

「こなたはあらはにや侍らむ。今日しも、端におはしましけるかな。この上のの方に、源氏の中将の、わらはやみまじなひにものし給ひけるを、ただ今なむ聞きつけ侍る。いみじう忍び給ひければ、知り侍らで、ここに侍りながら、御とぶらひにもまうでざりける。」


のたまへば、

「あないみじや。いとあやしきさまを人や見つらむ。」


とて簾下ろしつ。

「この世にののしり給ふ光源氏、かかるついでに見奉り給はむや。世を捨てたる法師の心地にも、いみじう世の憂へ忘れ、伸ぶる人の御ありさまなり。いで御消息聞こえむ。」


とて立つ音すれば、帰り給ひぬ。

つづき

源氏物語『若紫』(あはれなる人を見つるかな〜)の現代語訳と解説



現代語訳(口語訳)

尼君は、(少女の)髪をなでながら、
「髪をとかすことを面倒がりなさいますが、美しいお髪ですね。たいへん幼くいらっしゃるのが、かわいそうで気がかりです。これくらい(の年頃)になれば、こんな(幼稚)ではない人もいるのに。亡くなった姫君(尼君の娘・紫の上の母)は、十歳ぐらいで殿(故姫君の父・尼君の夫・紫の上からみれば母方の祖父)に先立たれなさったときには、とても道理を理解していらっしゃったのですよ。たった今私が(あなたを)後に残して死に申し上げたならば、どのようにして世の中に(生きて)いらっしゃるというのでしょう。」






といって、たいそう泣いているのを(光源氏が)ご覧になるのも、なんということもなく悲しい気がします。(少女は)幼心にも、そうはいってもやはり(尼君のことを)じっと見つめて、伏し目になってうつむいていますが、垂れかかっている髪は、つややかに美しく見えます。

成長していく場所も知らない(これからどのように成長をしていくのかわからない)若草(のような少女のこと)を、後に残して消えていく露(のような老い先の短い私)は、(気になって)消えようにも消える空がない(死んでも死にきれません)。

※解説:尼君が詠んだ歌


また、その横に座っている女房は、





「本当に。」


と泣いて、

萌え出したばかりの若草が成長していく将来もわからないうちに、どうして露(尼君)は消えようとするのでしょうか。

※解説:横にいた女房が詠んだ歌


と申し上げているうちに、僧都があちらから来て、

「こちらは(外から)丸見えでございましょうか。今日に限って(部屋の)端にいらっしゃるのですね。この上の高い僧の所に、源氏の中将が瘧病のまじないにいらっしゃったことを、たった今聞きつけました。たいそう人目につかないように隠れていらっしゃったので、存じませんで、ここにおりながら、お見舞いにも参上しませんでした。」






とおっしゃると(尼君は)、

「まぁ大変。とてもみっともない様子を、誰か見ているでしょうか。」


と言って簾をおろしてしまいました。(僧都が)

「世間で評判が高くていらっしゃる光源氏を、このような機会に見申し上げなさいませんか。世を捨てた(私のような)法師の心の中にも、たいそう世間の不安を忘れて、寿命が延びるような(気にさせてくれる)光源氏のご様子です。さあ、ご挨拶を申し上げましょう。」


と言って立つ音がするので、(光源氏は)お帰りになりました。

つづき

源氏物語『若紫』(あはれなる人を見つるかな〜)の現代語訳と解説


次ページ:品詞分解と単語・文法解説

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