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古文単語「あやし/怪し/奇し/賤し」の意味・解説【形容詞シク活用】

著者名: 走るメロス
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あやし/怪し/奇し/賤し

このテキストでは、シク活用の形容詞「あやし」の意味、活用、解説とその使用例を記しています。

形容詞・シク活用

未然形あやしくあやしから
連用形あやしくあやしかり
終止形あやし
連体形あやしきあやしかる
已然形あやしけれ
命令形あやしかれ


※(一)「怪し/奇し」と(ニ)「賤し」とでは意味が異なる。

(一)怪し/奇し

意味1

不思議だ、神秘的だ

[出典]枕草子 清少納言
「ただ文字一つに、あやしう、あてにもいやしうもなるは、いかなるにかあらむ。」

[訳]:ただ言葉遣いの一つで、不思議なことに、上品にも下品にもなるのは、どういうわけでしょうか。

※「あやしう」は、「あやし」の連用形のウ音便

意味2

異常だ、珍しい、並々ではない

[出典]清涼殿のうしとらのすみの 清少納言
「女御、例ならずあやしとおぼしけるに...」

[訳]:女御は、いつもとちがって(様子が)並々ではないとお思いになったところ...




意味3

よくない、不都合だ、けしからん

[出典]にくきもの 枕草子
「遣戸を、荒くたてあくるも、いとあやし。」

[訳]:引き戸を、荒っぽく閉めたり開けたりするのも、とてもけしからんことだ。


意味4

疑わしい、心もとない、心配だ

[出典]竹取物語
「かぐや姫を養ひ奉ること二十余年になりぬ。片時とのたまふに、あやしくなりはべりぬ。」

[訳]:「かぐや姫を養い申し上げて20年あまりになります。(この20年のことを)少しの間と仰るので、(本当にかぐや姫のことを言っているのか)疑わしく思いました。


[出典]奥の細道 松尾芭蕉
「うひうひしき旅人の道ふみたがえん、あやしう侍れば...」

[訳]:(この土地に)慣れていない旅人が道を間違えるようなことも、心配ですから...




(ニ)賤し

意味1

身分が低い

[出典]:源氏物語 紫式部
あやしき海人どもなどの高き人おはする所とて、集まり参りて...」

[訳]身分の低い漁夫たちなどが、身分の高い方がいらっしゃる所だといって、集まり参上して


意味2

見苦しい、みっともない

[出典]更級日記 菅原孝標女
「東路の道の果てよりも、なほ奥つ方に生ひ出でたる人、いかばかりかはあやしかりけむを...」

[訳]:京都から東国へ向かう道の最果てよりも、さらに奥の方で育った人(である私)は、(今思うと)どれほどまあ(田舎っぽくて)見苦しかっただろうに...




備考

当時の貴族たちからすれば、庶民の生活は不思議で理解できなかったことから(ニ)「賤し」の意味が生まれたとされる。
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ベネッセ全訳古語辞典 改訂版 Benesse
全訳読解古語辞典 第四版 三省堂

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