「みる/見る」の意味・活用・使用例【マ行上一段活用】
このテキストでは、マ行上一段活用の動詞「
みる/見る」の意味、活用、解説とその使用例を記している。
マ行上一段活用
未然形 | み |
連用形 | み |
終止形 | みる |
連体形 | みる |
已然形 | みれ |
命令形 | みよ |
■意味1:他動詞
見る、目に留まる、観察する。
[出典]:
物語・源氏の五十余巻 更級日記
「心も得ず心もとなく思ふ源氏を、一の巻よりして、人も交じらず、几帳の内にうち伏して、引き出でつつ
見る心地...」
[訳]:一の巻から読み始めて、誰にも邪魔されず、几帳の中に横になって、(箱のなかから)引き出して
見る心地は...
■意味2:他動詞
(人に)
会う、対面する。
[出典]:紫式部日記
「見るには、あやしきまでおいらかに、こと人かとなむおぼゆる。」
[訳]:会ってみると、不思議なほどおっとりしていて、別人かと思えます。
■意味3:他動詞
結婚する、異性と関係を持つ。
[出典]:若紫 源氏物語
「うち語らひて心のままに教え生ほし立ててみばや。」
[訳]:語り合って自分の思いのままに教えて育てあげて結婚したい。
■意味4:他動詞
遭遇する、経験する、〜の目に遭う。
[出典]:
東下り 伊勢物語
「宇津の山にいたりて、わが入らむとする道はいと暗う細きに、つたかえでは茂り、物心ぼそく、すずろなるめを
見ることと思ふに...」
[訳]:宇津の山について、(これから)自分が入ろうとする道は、とても暗く細く、(おまけに)つたや楓が茂っていたので、なんとなく心細く、(この道を行くと)思いがけない
目に遭うのだろうと思っていたところ...
■意味5:他動詞
見て思う、判断する。
※この用法の場合、「〜とみる」の形をとる。
[出典]:
神無月のころ 徒然草
「かくてもあられけるよと、あはれに
見るほどに...」
[訳]:こんな様子でも(住んで)いることができるのだなぁと、しみじみと
思っていると...
■意味6:他動詞
理解する。
[出典]:空蝉 源氏物語
「童なれども、ものの心ばへ、人の気色見つべく静まれるを...」
[訳]:子どもではあるが、物の意味や人の心を理解することができそうなほど落ち着いているが...
■意味7:他動詞
占う。
[出典]:桐壷 源氏物語
「天の下を助くる方にて見れば、またその相たがふべし。」
[訳]:天下を補佐する(人物という)方向で占うと、またその相が異なるに違いない。
■意味8:他動詞
世話をする。
[出典]:玉鬘 源氏物語
「かの御かはりにみ奉らむ。」
[訳]:あのお方の代わりに(玉鬘を)お世話し申しあげましょう。
■意味9:補助動詞
試しに〜する、〜してみる。
[出典]:
馬のはなむけ 土佐日記
「男もすなる日記といふものを、女もして
みむとて、するなり。」
[訳]:男が書くと聞く日記というものを、女(の私)も
してみようと思って書くのである。