「おはします/御座します」の意味・活用・使用例【サ行四段活用】
このテキストでは、サ行四段活用の動詞「
おはします/御座します」の意味、活用、解説とその使用例を記しています。
サ行変格活用
未然形 | おはしまさ |
連用形 | おはしまし |
終止形 | おはします |
連体形 | おはします |
已然形 | おはしませ |
命令形 | おはしませ |
■意味1:動詞
(あり/居りの尊敬語で)
いらっしゃる、おありになる。
[出典]:
大鏡
「筑紫に
おはします所の...」
[訳]:(菅原道真公は、)筑紫で
いらっしゃる所の...
■意味2:動詞
(行く/来るの尊敬語で)
お出かけになる、いらっしゃる、おいでになる。
[出典]:
伊勢物語
「惟喬親王、例の狩りしに
おはします供に...」
[訳]:惟喬親王が、いつものように狩りをしに
お出かけになる供に...
■意味3:補助動詞
〜でいらっしゃる。
※この用法の場合、活用語の連用形、断定の助動詞「なり」の連用形「に」、またそれらに助詞「て」が付いた形に付いて尊敬を表す。
[出典]:
竹取物語
「ここにおはするかぐや姫は、重き病をし給へば、え出で
おはしますまじ。」
[訳]:ここにいらっしゃるかぐや姫は、重い病気を抱えていらっしゃるので、外に出て
いらっしゃることはできないでしょう。
■意味4:補助動詞
お〜になる、お〜なさる。
※この用法の場合、「せおはします」、「させおはします」の形で用いられる。「せ/させ」はそれぞれ尊敬の助動詞「す/さす」の連用形であり、二重敬語となる。
[出典]:
大鏡
「殿上に出で
させおはしまして遊びおはしましけるに...」
[訳]:殿上に
お出ましになって、お遊び(管弦楽の演奏・和歌詠みなど)なさられていたところ...
■「おはす」と「おはします」の違い
「おはします」は「
おはす」よりも敬意が高く、「せおはします/させおはします」のように二重敬語を表す補助動詞の用法は、「おはす」にはない。また、「おはす」がサ行変格活用であるのに対し、「おはします」はサ行四段活用。