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発心集『叡実、路頭の病者を憐れむ事』テストで出題されそうな問題

著者名: 走るメロス
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発心集『叡実、路頭の病者を憐れむ事』

このテキストでは、発心集の中の『叡実、路頭の病者を憐れむ事』でテストに出題されそうな問題をピックアップしていきます。

次の文章を読み、問いに答えよ


山に叡実阿闍梨といひて、貴き人ありけり。帝の御悩み重くおはしましけるころ、召しければ、たびたび辞し申しけれど、重ねたる仰せ否びがたくて、なまじひにまかりける道に、あやしげなる病人の、足手もかなはずして、ある所の築地のつらに平がり臥せるありけり。

阿闍梨これを見て、悲しみの涙を流しつつ、車よりおりて、あはれみとぶらふ。畳求めて敷かせ、上に仮屋さしおほひ、食ひ物求めあつかふほどに、やや久しくなりにけり。勅使、

日暮れぬべし。いといと便なき事なり

といひければ、

参るまじき。かく、その由を申せ。

といふ。御使ひおどろきて、ゆゑを問ふ。阿闍梨言ふやう、

世を厭ひて、心を仏道に任せしより、帝の御事とても、あながちに貴からず。かかる病人とてもまたおろかならず。ただ同じやうにおぼゆるなり。それにとりて、君の御祈りのため、験あらん僧を召さんには、山々寺々に多かる人誰かは参らざらん。さらに事欠くまじ。この病者に至りては、厭ひ汚む人のみありて、近づきあつかふ人はあるべからず。もし我捨てて去りなば、ほとほと寿も尽きぬべし。

とて、彼をのみあわれみ助くる間に、つひに参らずなりにければ、時の人ありがたきことになん言ひける。

この阿闍梨、終はりに往生を遂げたり。くはしく伝にあり。

問題

Q1:「築地」、 「勅使」、「厭ひて」、「験」を現代仮名遣いで記しなさい。


Q2:「召しければ」の主語を文中から抜き出しなさい。


Q3:「なまじひにまかりける道」を現代語訳しなさい。


Q4:「あやしげなる病人」の意味を答えなさい。


Q5:「便なき事なり」とあるが、何が便なきことなのか説明しなさい。

次ページ:解答と現代語訳

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『教科書 高等学校古典B』 第一学習社
佐竹昭広、前田金五郎、大野晋 編1990 『岩波古語辞典 補訂版』 岩波書店

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