「のぶ/伸ぶ/延ぶ」の意味・活用・使用例【バ行上二段活用/バ行下二段活用】
このテキストでは、バ行上二段活用/バ行下二段活用の動詞「
のぶ/伸ぶ/延ぶ」の意味、活用、解説とその使用例を記している。
①バ行上二段活用
| 未然形 | のび |
| 連用形 | のび |
| 終止形 | のぶ |
| 連体形 | のぶる |
| 已然形 | のぶれ |
| 命令形 | のびよ |
■意味1:自動詞
長くなる、伸びる、広がる。
[出典]:総角 源氏物語
「見たてまつるに皺のぶる心地して...」
[訳]:(年をとった女房たちは薫の姿を)見申し上げるだけで(顔の)しわが伸びるような気持ちがして...
■意味2:自動詞
期限が延びる、延期する、送れる。
[出典]:若菜下 源氏物語
「かくて、山の帝の御賀ものびて...」
[訳]:こうして、山の帝の御賀も延期になって...
■意味3:自動詞
のびのびとする、くつろぐ、ゆったりする。
[出典]:絵合 源氏物語
「弥生の十日ほどなれば、空もうららかにて、人の心ものび...」
[訳]:三月の十日ころなので、空もうららかで、人の心ものんびりし...
■意味4:自動詞
逃げ延びる、落ち延びる、逃れる。
[出典]:宮御最期 平家物語
「今は宮もはるかにのびさせ給ひぬらん。」
[訳]:今はもう(高倉の)宮もはるか遠くに逃げ延びなさったのだろう。
■意味5:自動詞
(財産などが)
貯まる、増える。
②バ行下二段活用
| 未然形 | のべ |
| 連用形 | のべ |
| 終止形 | のぶ |
| 連体形 | のぶる |
| 已然形 | のぶれ |
| 命令形 | のべよ |
■意味1:他動詞
長くする、伸ばす。
[出典]:
城陸奥守泰盛は 徒然草
「足を
伸べて閾に蹴当てぬれば...」
[訳]:(敷居を超えようとした馬が)足を
伸ばして敷居にぶつける(のを見る)と...
■意味2:他動詞
延期する、延長する。
[出典]:
競べ弓 大鏡
「中関白殿、また御前に候ふ人々も、『いま二度
延べさせ給へ。』と申して、延べさせ給ひけるを...」
[訳]:中関白殿、そしてこの御前にお仕えする人々も、「あと二回、(勝負を)
延長なさいませ。」と申し上げたので、(弓競べを)延長なさったのですが...
■意味3:他動詞
のびのびさせる、ゆったりさせる、のんびりさせる。
[出典]:蜻蛉日記
「心ものべがてら浜づらのかたに祓へもせむと思ひて...」
[訳]:心をのんびりさせがてら、浜辺の方でお祓いでもしてみようと思い...