竹取物語『かぐや姫の昇天』原文・現代語訳とわかりやすい解説
このテキストでは、
竹取物語の一節『
かぐや姫の昇天』の「
竹取、心惑ひて泣き伏せる~」から始まる部分の現代語訳・口語訳を記しています。書籍によっては「
天の羽衣」と題するものもあるようです。
前回のテキスト
竹取物語「立てる人どもは~」の現代語訳
竹取物語とは
竹取物語は、平安時代初期に成立したとされる物語です。正確な成立年や作者は未詳です。
原文
竹取、心
惑ひて泣き
伏せるところに
寄りて、かぐや姫言ふ、
と言へども、
と泣きて伏せれば、心惑ひぬ。
とて、
うち泣きて書く言葉は、
と書き置く。
※つづき:
「天人の中に持たせたる箱~」の現代語訳
現代語訳(口語訳)
竹取(の翁)が心を乱して泣き伏せっているところに近寄って、かぐや姫が言うことには、
「自分も心になくこのようにおいとまするのですから、せめて(天界に)昇るのだけでもお見送りください。」
と言うのですが、
「どうして、悲しいときにお見送り申し上げましょうか(いやできません)。私をどうしろというつもりで、見捨ててお昇りになるのですか。(私も)一緒に連れておいでになってください。」
と泣き伏せたので、(かぐや姫の)お心も乱れてしまいました。
「手紙を書き残しておいとましましょう。恋しく思われるようなときに、取り出して御覧下さい。」
と言って、(かぐや姫は)泣きながら書く言葉は、
「この国に生まれたのならば、(あなた方を)悲嘆させ申し上げない頃まで(お側に)おります。去り別れてしまうことは、重ね重ね残念に思われます。脱ぎ置く着物を(私の)形見として御覧ください。月が出ているような夜は、(私のいる月を)御覧ください。(お二人を)お見捨て申し上げ参ります、空からも落ちてしまいそうな気持ちがします。」
と書き残しました。
※つづき:
「天人の中に持たせたる箱~」の現代語訳
品詞分解
※品詞分解:
「竹取心惑ひて泣き伏せる~」の品詞分解
関連テキスト
・竹取物語『
冒頭』(今は昔、竹取の翁といふもの〜)
・竹取物語『
蓬莱の玉の枝』(くらもちの皇子は〜)
・竹取物語『
蓬莱の玉の枝』(かかるほどに、門をたたきて〜)
・竹取物語『
蓬莱の玉の枝』(翁、皇子に申すやう、)
・竹取物語『
蓬莱の玉の枝』(その山、見るに、さらに登るべきやうなし。~)
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・竹取物語『
火鼠の皮衣』(家の門に持て至りて立てり)
・竹取物語『
帝の求婚』(帝、にはかに日を定めて~)
・竹取物語『
かぐや姫の嘆き』(八月十五日ばかりの月に出でゐて、~)
・竹取物語『
かぐや姫の昇天』(かかるほどに、宵うち過ぎて、〜)
・竹取物語『
かぐや姫の昇天』(立てる人どもは~)
・竹取物語『
かぐや姫の昇天』(竹取、心惑ひて~)
・竹取物語『
かぐや姫の昇天』(天人の中に持たせたる箱~)
著者情報:走るメロスはこんな人
学生時代より古典の魅力に取り憑かれ、社会人になった今でも休日には古典を読み漁ける古典好き。特に1000年以上前の文化や風俗をうかがい知ることができる平安時代文学がお気に入り。作成したテキストの総ページビュー数は1,6億回を超える。好きなフレーズは「頃は二月(にうゎんがつ)」や「月日は百代の過客(くゎかく)にして」といった癖のあるやつ。早稲田大学卒業。