源氏物語『須磨』のわかりやすいあらすじ・主な登場人物の紹介
このテキストでは、
源氏物語の第十二帖『
須磨』(すま)のあらすじを短くわかりやすく記しています。その他、主な登場人物などもまとめています。
須磨のあらすじ
朧月夜との密会が発覚し窮地に陥った光源氏は、これ以上立場を悪くしないよう、自ら身を引いて須磨に移り住むことにしました。左大臣の一族や藤壺など身近な人たちに別れを告げ、後見する東宮(藤壺の息子)や女君(恋人)たちには手紙で別れの言葉を伝えました。一緒に行くことができない紫の上には、領地や財産をすべて託しました。須磨に行く前に、桐壺帝の墓にお参りすると、亡き父の幻が現れ、光源氏は悲しみに打ちひしがれたのです。
都から高貴な人が流れてきた噂はすぐに広まりました。須磨の隣国の明石には、桐壺更衣(光源氏の母)のいとこの明石入道が住んでいて、自分の娘を光源氏に嫁がせようと画策し始めるのでした。
須磨の寂しい住まいで、光源氏は都の人々と手紙を交わしたり絵を描いたりしながら、孤独な日々を過ごしていました。物思いに耽りながら、明石の君に関する噂を聞いたり、ある時は都から頭中将が遥々訪れ、一時の再会を喜び合ったのでした。
須磨に移ってからおよそ1年が経過した三月上巳の日、海辺で祓いの儀式を行っている最中に、恐ろしい嵐が須磨の地を襲いました。光源氏一行は皆、恐怖におののいたのでした。
主な登場人物
■光源氏(26歳春~27歳春)
■紫の上
紫の君。光源氏の妻となって、紫の上と呼ばれる。自身を都に残して数少ない従者とともに須磨に移る光源氏の身を案じる。光源氏との別れの際には、留守を預かる覚悟からか、涙をこらえる強さを見せた。
■藤壺
光源氏が後見を務める東宮(のちの冷泉帝。
本当の父親は光源氏)の母親。光源氏が須磨に行くこととなり、東宮の立場を不安に思う。
■朧月夜
光源氏とは政治的に対立のある右大臣の娘であり、弘徽殿女御の妹。彼女との関係がばれたことが、光源氏失脚の原因となった。
朧月夜(おぼろづきよ)
■花散里
麗景殿女御(故桐壺帝の女御の一人)の妹。光源氏の恋人。
花散里(はなちるさと)。
■六条御息所
光源氏の初期からの恋人。
葵の上の一件ののち、伊勢に移り住む。光源氏のことを気にかけており、従者を須磨に送るなど、交流はある。
六条御息所(ろくじょうみやすどころ)。
■明石入道
桐壺更衣(光源氏の母)のいとこ。須磨に流れてきた光源氏に自分の娘を嫁がせようと画策する。
■頭中将
光源氏の前妻である葵の上の兄弟。左大臣の息子でありながら右大臣の娘を妻としていることから、光源氏の失脚後も出世街道をばく進中。右大臣側の批判を受けることを覚悟で、光源氏に会うためにはるばる須磨までやって来る男気をみせた。
源氏物語とは
源氏物語は平安中期に成立した長編小説です。一条天皇中宮の藤原彰子に仕えた
紫式部が作者とするのが通説です。
おすすめの書籍
【あさきゆめみし】
源氏物語は、文字で読むには非常に難解な物語だと思います。一人の人物を指す言葉が何パターンもあるというのが理由の一つです。例えば第一帖「
桐壺」に出てくる
・男御子
・御子
・君
・若宮
・宮
・源氏の君
・光る君
・源氏
という言葉はすべて、光源氏のことを指しています。光源氏の初恋の相手である藤壺を指す言葉は「先帝の四の宮、后の宮の姫宮、藤壺、御方、宮、かかやく日の宮」、桐壺更衣をいじめる弘徽殿女御を指す言葉は「右大臣の女御、一の御子の女御、弘徽殿、御方、女御、弘徽殿の女御、春宮の女御」と、非常に多くの表現が用いられており、このことが源氏物語を読みづらくしている要因の一つだと思います。そこでお勧めなのが漫画でイメージを掴むことです。特にここで紹介する
あさきゆめみしは、半世紀近く読み親しまれてきた漫画の決定版だと思います。
読むのが難解な源氏物語を、まずは漫画で気軽に感じてみてはいかがでしょうか。
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