カーボベルデ共和国
カーボベルデ共和国(以下「カーボベルデ」、英語ではRepublic of Cabo Verde)は、アフリカ大陸の最西端、セネガルの沖合約570キロメートルに位置する火山性の群島国家です。首都はプライアです。
このテキストでは、カーボベルデ共和国の特徴を「国土」、「人口と人種」、「言語」、「主な産業」、「主な観光地」、「文化」、「スポーツ」、「日本との関係」の8つのカテゴリに分けて詳しく見ていき、同国の魅力や国際的な影響力について考えていきます。
1.国土
カーボベルデ共和国は、アフリカ大陸の最西端、セネガルの沖合約570キロメートルに位置する火山性の群島国家です。総面積は約4,033平方キロメートルで、これは日本の滋賀県とほぼ同じ広さです。
国土は、北東貿易風の影響を受ける位置によって、北部のバルラヴェント(風上)諸島と南部のソタヴェント(風下)諸島の大きく二つに分けられます。
■バルラヴェント諸島
サント・アンタン島、サン・ヴィセンテ島、サンタ・ルジア島(無人島)、サン・ニコラウ島、サル島、ボア・ヴィスタ島が含まれます。
■ソタヴェント諸島
マイオ島、サンティアゴ島、フォゴ島、ブラヴァ島が含まれます。
これらの島々は、それぞれ異なる地形と特徴を持っています。
■地形
全体的に火山起源であり、山がちな島が多いのが特徴です。特にフォゴ島には、標高2,829メートルの活火山であるフォゴ山がそびえ立ち、国内最高峰となっています。一方で、サル島やボア・ヴィスタ島、マイオ島のように、比較的平坦で砂丘が広がる島もあります。海岸線は変化に富み、美しい砂浜が広がる一方、断崖絶壁が続く場所もあります。
■気候
カーボベルデは、年間を通して温暖で乾燥したサバナ気候または砂漠気候に属します。平均気温は25℃前後で安定しており、寒暖差は小さいです。年間降水量は非常に少なく、特にバルラヴェント諸島では乾燥が顕著です。降雨は主に8月から10月の短い雨季に集中しますが、年による変動が大きく、干ばつに見舞われることもしばしばあります。しかし、北東からの貿易風が年間を通して吹いているため、暑さが和らぎ、比較的過ごしやすい気候と言えます。この風はウィンドサーフィンやカイトサーフィンなどのマリンスポーツにも適しています。
■自然環境
乾燥した気候のため、植生は全体的に乏しいですが、標高の高い地域や比較的降水量のある島(サント・アンタン島やサンティアゴ島の一部)では、緑豊かな谷も見られます。島国であるため、周辺海域には多様な海洋生物が生息しており、マグロ、ロブスターなどの水産資源に恵まれています。また、アカウミガメの重要な産卵地としても知られており、特にボア・ヴィスタ島は世界有数の産卵地の一つです。固有の動植物も存在し、その保護が課題となっています。水資源の乏しさは、長年にわたる国家的な課題であり、海水淡水化プラントの導入などが進められています。
このように、カーボベルデの国土は、島ごとに異なる表情を持つ多様性に富んだ環境であり、その地理的・気候的特徴が、人々の暮らしや文化、産業に大きな影響を与えています。
2.人口と人種
カーボベルデ共和国の人口は、約59万人と推定されています。人口密度は1平方キロメートルあたり約146人と、アフリカ諸国の中では比較的高めです。人口の多くは都市部に集中しており、都市人口比率は約70%に達します。首都プライア(サンティアゴ島)やミンデロ(サン・ヴィセンテ島)などの主要都市に人口が集中しています。
カーボベルデ社会の最大の特徴は、その民族構成にあります。人口の大多数(約71%)は、ヨーロッパ系(主にポルトガル系)とアフリカ系の混血であるクレオール(ムラート)で占められています。次いでアフリカ系(約28%)、ヨーロッパ系(約1%)と続きます。このクレオール中心の社会は、歴史的にアフリカ大陸から連れてこられた奴隷と、ポルトガルからの入植者や船乗りたちとの間で混血が進んだ結果形成されました。肌の色や髪質、顔立ちは非常に多様であり、人種的な境界線は比較的緩やかです。この多様なルーツを持つ人々が共存し、独自の文化を育んできたことが、カーボベルデの大きな魅力となっています。
年齢構成は比較的若く、若年層(0~14歳)が約27%、生産年齢人口(15~64歳)が約66%、老年層(65歳以上)が約7%となっています。平均寿命は男女合計で約74歳と、アフリカの中では高い水準にあります。
もう一つの人口に関する重要な特徴は、ディアスポラの存在です。国内人口よりも多くのカーボベルデ人またはカーボベルデにルーツを持つ人々が、国外(特にアメリカ合衆国、ポルトガル、フランス、オランダなど)で暮らしていると言われています。歴史的な移住の波(干ばつや経済的理由による)に加え、現在も多くの若者が教育や就労の機会を求めて海外へ渡っています。国外在住者からの送金は、カーボベルデ経済にとって重要な役割を果たしており、また、ディアスポラコミュニティは、カーボベルデ文化の維持・発展や国際的なネットワーク形成においても大きな力となっています。
このように、カーボベルデはクレオール文化を基盤とし、国内外に広がるネットワークを持つ、ダイナミックな社会を形成しています。
[h3]宗教[h3]
国民の大多数(約80%以上)はカトリックを信仰しています。ポルトガル植民地時代の影響が強く、教会はコミュニティの中心的な役割を果たしています。ただし、プロテスタントや、アフリカの伝統的な信仰の影響を受けた習俗も一部に残っています。信教の自由は保障されています。
3.言語
■公用語
ポルトガル語が憲法で定められた唯一の公用語です。行政、教育、法律、公式なメディア(新聞、テレビニュースなど)で使用されています。学校教育も主にポルトガル語で行われるため、国民の多くがある程度のポルトガル語を理解し、話すことができます。
■国語(事実上の共通語)
日常生活で圧倒的に広く使われているのは、カーボベルデ・クレオール語(Kabuverdianu または Crioulo)です。これは、ポルトガル語をベースに、西アフリカの諸言語(特にマンディンカ語など)の影響を受けて形成されたクレオール言語です。カーボベルデ国民の母語であり、家庭や友人との会話、市場でのやり取り、そして音楽や詩などの文化表現において中心的な役割を担っています。クレオール語は、カーボベルデ人のアイデンティティと強く結びついており、国民統合の象徴とも言えます。
カーボベルデ・クレオール語には、島ごとや地域ごとにいくつかの方言が存在します。主にバルラヴェント諸島のクレオール語とソタヴェント諸島のクレオール語に大別され、語彙や発音に違いが見られます。近年、クレオール語の地位向上を目指す動きがあり、正書法(ALUPEC)の標準化が進められたり、教育現場での活用が議論されたりしています。しかし、現状ではまだポルトガル語が公式な場での優位性を保っています。
■その他の言語
観光業の発展に伴い、主要な観光地やホテルでは英語やフランス語も通じる場合があります。特にサル島やボア・ヴィスタ島のリゾートエリアでは、多言語対応が進んでいます。しかし、一般の国民の間では、ポルトガル語とクレオール語が主要なコミュニケーション手段です。
4.主な産業
カーボベルデ共和国は、天然資源に乏しく、乾燥した気候による農業生産への制約があるものの、安定した政治体制と戦略的な地理的位置を活かし、着実な経済発展を目指しています。アフリカの中では比較的所得水準が高く、世界銀行によって中所得国に分類されています。
■国内総生産(GDP)
近年のGDPは、新型コロナウイルス感染症パンデミックの影響を受けましたが、観光業の回復などにより持ち直しの傾向にあります。一人当たりGDPもアフリカ諸国の中では比較的高い水準を維持しています。
■主要産業
カーボベルデ経済の最大の柱はサービス業であり、GDPの約7割以上を占めています。その中でも特に重要なのが観光業です。美しいビーチ、温暖な気候、豊かな文化、そして政治的安定性を背景に、ヨーロッパからの観光客を中心に人気が高まっています。サル島やボア・ヴィスタ島には大規模なリゾート開発が進んでいます。観光業は雇用創出や外貨獲得に大きく貢献していますが、一方で経済の観光への依存度を高めるという課題も抱えています。
■農業
農業はGDPに占める割合は小さい(約8%)ものの、依然として多くの人々の生計を支えています。しかし、国土の大部分が乾燥しており、耕作可能地は限られています(国土の約11%)。主な作物はトウモロコシ、豆類、サツマイモ、バナナなどですが、国内の食料需要を満たすには至らず、食料の多くを輸入に頼っています。慢性的な水不足が深刻な課題であり、灌漑施設の整備や耐乾性作物の導入などが進められています。
■漁業
周辺海域は豊かな漁場であり、漁業は重要な産業の一つです。マグロ、ロブスター、その他の魚介類が漁獲され、一部は輸出されて貴重な外貨獲得源となっています。日本を含む国々からの漁業協力も行われています。
■工業
工業部門はまだ規模が小さく、GDPへの貢献度も低い(約18%)ですが、軽工業(履物、衣料品、飲料、水産加工など)が存在します。また、船舶修理業もミンデロ港などを中心に行われています。政府は産業多角化を目指し、外国からの投資誘致にも力を入れています。
■貿易
カーボベルデは、食料品、燃料、工業製品など多くの物資を輸入に依存しています。主な輸入品目は、食料、燃料、機械類、輸送機器などです。一方、輸出品目は魚介類、衣料品、履物などが中心です。主要な貿易相手国は、地理的・歴史的なつながりからポルトガル、スペインなどのヨーロッパ諸国が中心となっています。
■経済開発の課題と展望
水資源の不足、天然資源の乏しさ、国土の狭さ、島嶼国家であることによる輸送コストの高さ、食料輸入への高い依存度などが、経済発展における主な課題です。また、気候変動による干ばつの深刻化や海面上昇のリスクにも直面しています。 これに対し、政府は、観光業の持続可能な発展、再生可能エネルギー(風力、太陽光)の導入促進、海洋資源の活用(ブルーエコノミー)、デジタル経済の推進、人的資源開発などに力を入れています。アフリカの中でも際立って安定した民主主義体制と良好なガバナンス(汚職認識指数などが比較的良好)は、外国からの投資や援助を引きつける上で有利な条件となっています。
5.主な観光地
カーボベルデ共和国は、その多様な自然と文化を背景に、近年ヨーロッパを中心に人気急上昇中の観光地です。年間を通して降り注ぐ太陽、美しいビーチ、ユニークなクレオール文化、そして心温まるホスピタリティが、世界中からの旅行者を魅了しています。
■サル島 (Sal)
■特徴
カーボベルデ観光の玄関口であり、最も開発が進んでいる島の一つです。アミルカル・カブラル国際空港があり、ヨーロッパからの直行便が多く就航しています。
南部のサンタ・マリア地区には、美しい白砂のビーチが長く続き、リゾートホテルやレストラン、バーが集中しています。ウィンドサーフィンやカイトサーフィンのメッカとしても世界的に有名で、国際大会も開催されます。塩田(Salina de Pedra Lume)では、塩分濃度の高い水に浮かぶ体験ができます。青の洞窟のような「ブルー・アイ(Buracona)」も人気のスポットです。ダイビングやシュノーケリングで豊かな海洋生物を観察するのもおすすめです。
■ボア・ヴィスタ島 (Boa Vista)
■特徴
サル島に次いで観光開発が進んでいますが、より手つかずの自然が残る、広大で静かな島です。「ボア・ヴィスタ」はポルトガル語で「美しい景色」を意味します。広大な砂丘と延々と続く美しいビーチが見どころです。特にサンタ・モニカ・ビーチはその美しさで知られています。世界有数のアカウミガメの産卵地であり、保護活動も行われています(産卵シーズンにはガイド付きで見学可能)。沖合には難破船の残骸も見られます。風が強く、カイトサーフィンやウィンドサーフィンにも適しています。サル島に比べて静かで、リラックスした休暇を過ごしたい人に向いています。
■サンティアゴ島 (Santiago)
■特徴
カーボベルデ最大の島であり、首都プライアがあります。政治・経済の中心であると同時に、最もアフリカ的な雰囲気を感じられる島とも言われています。
■首都プライア (Praia)
活気ある市場(スーク市場)や歴史的なプラトー地区があります。国立民族学博物館など文化施設も充実しています。
■シダーデ・ヴェーリャ (Cidade Velha)
カーボベルデで最初に建設された町であり、「古い町」を意味します。かつての奴隷貿易の拠点であり、その歴史的な街並みは2009年にユネスコ世界遺産に登録されました。要塞跡や教会跡、ペロリーニョ(奴隷を晒した柱)などが残っています。
■内陸部
緑豊かな渓谷やプランテーション跡地が点在し、ハイキングも楽しめます。タラファルには美しいビーチもあります。
■サン・ヴィセンテ島 (São Vicente)
■特徴
カーボベルデの「文化の首都」とも称される島。主要都市ミンデロは、活気ある音楽シーンとコロニアル調の美しい街並みで知られています。
■ミンデロ (Mindelo)
「裸足の歌姫」セザリア・エヴォラの出身地であり、夜な夜なライブミュージックが楽しめるバーやレストランが数多くあります。コロニアル建築が残る美しい港町で、散策するだけでも楽しめます。毎年2月(または3月)に開催されるカーニバルは、ブラジルに次ぐ規模とも言われ、島全体が熱気に包まれます。
■周辺のビーチ
サン・ペドロ・ビーチなどはウィンドサーフィンのスポットとしても知られています。
■サント・アンタン島 (Santo Antão)
■特徴
サン・ヴィセンテ島からフェリーで渡ることができる、緑豊かでドラマチックな景観を持つ島。ハイカーや自然愛好家に人気があります。
深い渓谷、険しい山々、段々畑が織りなす壮大な景色が広がります。ポール渓谷(Vale do Paul)やリベイラ・グランデ(Ribeira Grande)周辺は特に美しいハイキングコースとして有名です。特産のグロッグ(サトウキビの蒸留酒)の製造所を訪れることもできます。
■フォゴ島 (Fogo)
■特徴
「火」を意味する名の通り、活火山フォゴ山を擁する島。
フォゴ山のカルデラ内(シャ・ダス・カルデイラス, Chã das Caldeiras)には集落があり、火山灰土壌で栽培されるブドウから作られるワイン(Vinho do Fogo)やコーヒーが特産品です。火山のトレッキングは特別な体験となるでしょう。(2014年の噴火の影響が残る地域もあります)
これらの島々は、フェリーや国内線航空便で結ばれており、アイランドホッピングを楽しむことも可能です。それぞれの島が持つ独自の自然、文化、雰囲気を体験することで、カーボベルデの奥深い魅力をより一層感じることができます。
6.文化
カーボベルデ文化の核心は、アフリカとヨーロッパの要素が長年にわたって融合し、独自の形を成した「クレオール文化」にあります。それは音楽、文学、芸術、食生活、そして人々の精神性に深く浸透しています。
■音楽
カーボベルデといえば、まず音楽を思い浮かべる人も多いでしょう。音楽はカーボベルデ人の魂そのものであり、生活に不可欠な要素です。
■モルナ (Morna)
カーボベルデを代表する音楽ジャンルであり、郷愁、憧憬、サウダージ(ポルトガル語の郷愁や切なさを示す言葉)を歌う、哀愁を帯びた美しいメロディが特徴です。主にクレオール語で歌われ、ギター、カヴァキーニョ(小型ギター)、ヴァイオリンなどで演奏されます。2019年には、ユネスコ無形文化遺産に登録されました。グラミー賞も受賞した「裸足の歌姫」セザリア・エヴォラ (Cesária Évora)によって世界的に知られるようになりました。
■コラデイラ (Coladeira)
モルナから派生した、よりアップテンポで陽気なダンス音楽です。
■フナナ (Funaná)
アコーディオン(ガイタ)とフェロ(金属棒を擦る楽器)が特徴的な、エネルギッシュでリズミカルなダンス音楽です。かつてはポルトガル植民地政府によって抑圧された歴史も持ちますが、独立後に復興しました。
■バトゥーケ (Batuque)
アフリカ起源の打楽器アンサンブルと歌、ダンスからなる伝統的な音楽形式。主に女性たちによって演じられます。 これら以外にも多様な音楽ジャンルが存在し、ミンデロのバーやプライアのクラブ、そして各地のフェスティバルで、生演奏に触れる機会が多くあります。
■文学
ポルトガル語とクレオール語の両方で、詩や小説、エッセイなどの文学活動が盛んです。植民地時代の経験、独立への渇望、ディアスポラの悲哀、クレオール・アイデンティティなどがテーマとされることが多いです。著名な作家には、クラリダード運動(Claridade movement)の作家たち(バルタザール・ロペス・ダ・シルヴァなど)や、現代の作家ジェルマーノ・アルメイダなどがいます。
■芸術
絵画、彫刻、工芸品などの分野でも、クレオール文化の影響を受けた独自の表現が見られます。鮮やかな色彩を用いた絵画や、火山岩、木材、貝殻などを使った工芸品が作られています。織物や陶芸なども伝統的に行われています。
■食文化
カーボベルデの料理は、ポルトガル料理とアフリカ料理の影響を受けています。主食はトウモロコシや米、豆類です。
■カチューパ (Cachupa)
国民食ともいえる煮込み料理。トウモロコシ、豆、野菜、そして肉(豚肉、牛肉、チョリソーなど)や魚を入れてじっくり煮込みます。豊かで栄養価の高い「カチューパ・リカ」と、シンプルな「カチューパ・ポブレ」があります。朝食には、残ったカチューパを炒めた「カチューパ・ギザード」もよく食べられます。
■魚介料理
海に囲まれているため、新鮮な魚介類が豊富です。マグロのグリルや煮込み、ロブスター、タコ、ブジオ(巻貝)などが人気です。
■その他の料理
モレヤ(ウツボ)のフライ、カルド・デ・ペイシェ(魚のスープ)、ジャガシーダ(米と豆の料理)などがあります。
■飲料
グロッグ (Grogue)は、サトウキビから作られるラム酒のような地元の蒸留酒で、特にサント・アンタン島やサン・ニコラウ島で生産されています。ストレートで飲んだり、ポンチェ(蜂蜜やライムと混ぜたカクテル)にしたりします。
■祭り
カーボベルデでは、年間を通して様々な祭りが開催されます。最も有名なのは、サン・ヴィセンテ島ミンデロで、灰の水曜日の前に行われるカーニバルです。華やかな衣装とサンバのリズムは、ブラジルのカーニバルにも匹敵すると言われ、多くの観光客を集めます。他の島でも小規模ながらカーニバルが行われます。
■音楽祭
各地で様々な音楽フェスティバルが開催されます。特にプライアのガンボア・フェスティバルや、サル島のサンタ・マリア・ビーチ・フェスティバルなどが有名です。
■宗教的な祭り
各島の守護聖人を祝う祭りなどが、宗教的な儀式とともに地域住民によって盛大に行われます。
7.スポーツ
カーボベルデ国民にとって、スポーツは大きな情熱の対象であり、特にサッカーは圧倒的な人気を誇ります。
■サッカー
サッカーは国技と言っても過言ではなく、子供から大人まで、多くの人々がプレーしたり観戦したりして楽しんでいます。国内には各島を代表するクラブチームによるリーグ戦があり、熱い戦いが繰り広げられています。カーボベルデ代表チームは「Tubaroes Azuis(青いサメ)」の愛称で親しまれています。人口規模は小さいながらも、近年目覚ましい成長を遂げており、アフリカのサッカー界で注目される存在となっています。特に、アフリカネイションズカップ(CAN)には複数回出場し、2013年大会ではベスト8に進出、2023年大会(2024年開催)でも再びベスト8に入る快挙を成し遂げました。これらの成功は、国内に大きな興奮と誇りをもたらしています。代表選手の多くは、ポルトガルをはじめとするヨーロッパのクラブで活躍しており、ディアスポラの存在が代表チームの強化にも繋がっています。
■その他のスポーツ
サッカー以外にも、様々なスポーツが親しまれています。中でもバスケットボールやバレーボールのチームスポーツも人気があり、国内リーグが存在します。国際大会にも選手を派遣しています。
■陸上競技
個人競技では陸上競技も盛んで、特に中長距離や跳躍種目で国際レベルの選手を輩出しています。
■ウォータースポーツ
恵まれた海洋環境と安定した風を活かし、ウィンドサーフィンやカイトサーフィンが非常に人気です。サル島などは世界的なスポットとして知られ、多くの愛好家やプロ選手が集まります。ダイビング、シュノーケリング、スポーツフィッシングなども楽しめます。
■伝統的なゲーム
ウリル(Ouril)と呼ばれる、アフリカ起源のマンカラ系のボードゲームも広く親しまれています。
■オリンピック・パラリンピック
カーボベルデは、1996年のアトランタ大会以降、夏季オリンピックに参加しています。まだメダル獲得には至っていませんが、陸上競技やボクシング、体操、柔道などの種目に選手を派遣しています。パラリンピックにも参加しており、選手の活躍が期待されています。
8.日本との関係
カーボベルデ共和国と日本は、遠く離れた島国同士でありながら、長年にわたり友好関係を築いてきました。
■外交関係
日本は、カーボベルデがポルトガルから独立した1975年に同国を承認し、外交関係を開設しました。以来、両国は良好な二国間関係を維持しています。
日本はカーボベルデに大使館を設置していませんが、在セネガル日本国大使館がカーボベルデを兼轄しています。一方、カーボベルデも日本に大使館は設置しておらず、駐中国カーボベルデ大使館が日本を兼轄しています。
■経済協力 (ODA)
日本は、カーボベルデの持続可能な開発を支援するため、長年にわたり政府開発援助(ODA)を実施してきました。特に、漁業分野での協力は中心的な柱の一つであり、漁港の整備、漁船や機材の供与、技術協力などを通じて、カーボベルデの重要な産業である漁業の振興と食料安全保障の向上に貢献しています。また、水資源開発(海水淡水化プラント建設支援など)、教育(学校建設など)、保健医療(機材供与など)といった分野でも協力を実施してきました。食料援助(米の供与など)も継続的に行われています。これらの支援は、カーボベルデの国民生活の向上と経済社会開発に貢献するものとして、カーボベルデ政府・国民から高く評価されています。
■文化交流
音楽を通じた交流など、草の根レベルでの文化交流も行われています。カーボベルデの音楽家が日本で公演を行ったり、日本の文化がカーボベルデで紹介されたりする機会もあります。セザリア・エヴォラの音楽は日本でも多くのファンを獲得しました。
■人的交流
在留邦人数は多くはありませんが(2022年10月時点で9名)、JICA関係者やNGO職員などが活動しています。一方、在日カーボベルデ人も少数ですが存在します(2023年6月末時点で29名)。