さしいづ/差し出づ
このテキストでは、ダ行下二段活用の動詞「
さしいづ/差し出づ」の意味、活用、解説とその使用例を記しています。
※「射し出づ」と書く場合もある。
ダ行下二段活用
未然形 | さしいで |
連用形 | さしいで |
終止形 | さしいづ |
連体形 | さしいづる |
已然形 | さしいづれ |
命令形 | さしいでよ |
■意味1:自動詞
光が差し始める、光りだす。
[出典]:七月ばかり 枕草子
「明うなりて、人の声々し、日もさしいでぬべし。」
[訳]:明るくなって、人々の声がして、日も差し始めてしまうだろう。
■意味2:自動詞
人前に出る、外に出る。
[出典]:伊勢物語
「さる滝の上に、藁座の大きさして、さしいでたる石あり。」
[訳]:そのような滝の上に、円座ほどの大きさで、外に出ている石があります。
■意味3:自動詞
でしゃばる。
[出典]:
はしたなきもの 枕草子
「はしたなきもの。異人を呼ぶに、われぞと
さし出でたる。」
[訳]:気まずいこと。他の人を呼んだのに、自分のことと(勘違いして)
でしゃばってしまうこと。
■意味4:他動詞
差し出す。
[出典]:
宮に初めて参りたるころ 枕草子
「...手にてもえ
さし出づまじう、わりなし。」
[訳]:...(私は)手さえも
差し出すことができないほど(気恥ずかしく)どうしようもない状態でいます。