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源氏物語『桐壷・光源氏の誕生(前の世にも御契りや〜)』の現代語訳・解説 |
著作名:
走るメロス
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源氏物語『光源氏の誕生・光る君誕生』
このテキストでは、源氏物語「桐壷」の章の一節『光源氏の誕生』(前の世にも御契りや深かりけむ〜)の原文、わかりやすい現代語訳・口語訳とその解説を記しています。書籍によっては『光る君誕生』とするものもあるようです。
※前回のテキスト:源氏物語「いづれの御時にか〜」の現代語訳・解説
※源氏物語は平安中期に成立した長編小説です。一条天皇中宮の藤原彰子に仕えた紫式部を作者とするのが通説です。
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原文(本文)
前の世にも御契りや深かりけむ、世になく清らなる玉の男御子さへ生まれ給ひぬ。いつしかと心もとながらせ給ひて、急ぎ参らせて御覧ずるに、(※1)めづらかなる稚児の御容貌なり。
一の皇子は、右大臣の女御の御腹にて、(※2)寄せ重く、疑ひなき儲の君と、世に(※3)もてかしづき(※4)聞こゆれど、この御(※5)にほひには並び給ふべくもあらざりければ、(※6)おほかたの(※7)やむごとなき御思ひにて、この君をば、私物に思ほし(※8)かしづき給ふこと限りなし。
はじめよりおしなべての(※9)上宮仕へし給ふべき際にはあらざりき。(※10)おぼえいとやむごとなく、上衆めかしけれど、わりなくまつはさせ給ふあまりに、さるべき御(※11)遊びの折々、何事にもゆゑある事のふしぶしには、まづ参上らせ給ふ、ある時には(※12)大殿籠り過ぐして、やがて候はせ給ひなど、あながちに御前去らずもてなさせ給ひしほどに、おのづから軽き方にも見えしを、この御子生まれ給ひて後は、いと心異に思ほしおきてたれば、坊にも、ようせずは、この御子の居給ふべきなめりと、一の皇子の女御は思し疑へり。
人よりさきに参り給ひて、やむごとなき御思ひなべてならず、皇女たちなどもおはしませば、この御方の御諌めをのみぞなほわづらはしう、心苦しう思ひきこえさせ給ひける。
かしこき(※13)御蔭をば頼み聞こえながら、(※14)おとしめ疵を求め給ふ人は多く、わが身はか弱くものはかなきありさまにて、なかなかなるもの思ひをぞし給ふ。御局は桐壺なり。
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現代語訳(口語訳)
(帝とその寵愛を受けていた女性は)前世でもご縁が強かったのでしょうか、世にまたとないほど清らかで美しい玉のような皇子までもがお生まれになりました。(帝は子どもを)早く(見たい)と待ち遠しくお思いになられていたので、急いで(皇子を)参上させてご覧になったところ、めったいないほど(美しい)赤ん坊の御容姿でいらっしゃいます。
(帝の)第一の皇子は、右大臣の娘で女御となった人がお産みになった子で、後ろ盾がどっしりしており、疑いなく皇太子(となられる人)であると、世間でも大切にお世話し申し上げていますが、この(新しくお生まれになった皇子の)生き生きとした美しさにはお並びになることができそうにもなかったので、(帝は、第一の王子に対しては、)普通の大切になさるという程度のご寵愛で、(新しくお生まれになった)この皇子には、自分の大事なものとお思いになり大切にお育てなさることこの上ありません。
(この皇子の母親である更衣は)当初は、ありきたりの帝のおそば勤めをなさらなければならない(低い)身分ではありませんでした。世間の評判は並大抵ではなく、高貴な人らしく見えますが、(帝が)分別なく絶えずお側にいさせなるので、しかるべき管弦楽の遊びの機会や、何事につけても趣きのある催し事の度に、真っ先に(更衣を)参上させなさり、あるときには(更衣と一緒にお休みになられて)お寝過ごしになってそのままお側に付き添わせなさるなど、強引にお側から離れないようにお取り扱いになったうちに、自然と身分が低い者とも見えていましたが、この皇子がお生まれになってから後は、(帝は更衣のことを)たいそう格別にお心にかけ(るよう取り決め)られたので、皇太子にも、ひょっとしたら、この皇子がお就きになられるのかもしれないと、第一の皇子の女御はお思い疑いになっています。
(第一の皇子の母であるこの女御は)誰よりも先に入内申し上げなさったので、(帝が女御のことを)大切に思われるお気持ちは並大抵のものではなく、(第一の皇子だけではなく)皇女たちなどもいらっしゃるので、この女御のご忠告だけはやはりはばかられ、つらくお思い申し上げなさるのでした。
(更衣は)恐れ多い帝の御庇護を頼りにし申し上げていましたが、(更衣のことを)さげすみ欠点をお探しになられる方は多く、(更衣)自身の体はか弱くなんとなく頼りない様子であるので、(帝の寵愛を受けたことで)なまじっかよくないお思いをしていらっしゃいます。(その更衣の)お部屋は桐壷という部屋です。
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