おきつ/掟つ
このテキストでは、タ行下二段活用の動詞「
おきつ/掟つ」の意味、活用、解説とその使用例を記している。
タ行下二段活用
未然形 | おきて |
連用形 | おきて |
終止形 | おきつ |
連体形 | おきつる |
已然形 | おきつれ |
命令形 | おきてよ |
■意味1:他動詞
決心する、取り決める。
※「思ひおきつ/おぼしおきつ」などの形で用いられることが多い。
[出典]:
桐壷 源氏物語
「この御子生まれ給ひて後は、いと心異に
思ほしおきてたれば...」
[訳]:この皇子がお生まれになってから後は、(帝は更衣のことを)たいそう格別に
お心にかけ(るよう取り決め)られたので...
「おぼしおきつ」の「おぼし」は「おもふ」の尊敬語「おぼす」の連用形であるが、「おもほす→おぼほす→おぼす」と変化してできたものである。よって「思ほしおきつ」は、「おぼしおきつ」に変化する前の言葉である。
■意味2:他動詞
指示する、命令する。
[出典]:
高名の木登り 徒然草
「高名の木登りと言ひし男、人を
おきてて、高き木に登せてこずゑを切らせしに...」
[訳]:名高い木登りと言った男が、人に指示をして、高い木に登らせて梢を切らせていたところ...
■意味3:他動詞
管理する、取り計らう。
[出典]:今物語
「出納、小舎人など、平張りの内にて、皆これをおきてつ。」
[訳]:出納や小舎人などが、幕を張って作った仮小屋の中で、すべてこれを管理した。