「いつしか/何時しか」の意味・活用・使用例【副詞・連語】
このテキストでは、古文単語「
いつしか/何時しか」の意味、解説とその使用例を記している。
※「いつしか」は
①副詞
②連語
としての用法がある。
①副詞
■意味1
早く、早速。
※この用法の場合、「いつしか〜願望」の形をとる。
[出典]:
桐壷 源氏物語
「
いつしかと心もとながらせ給ひて、急ぎ参らせて御覧ずるに、めづらかなる稚児の御容貌なり。」
[訳]:(帝は子どもを)
早く(見たい)と待ち遠しくお思いになられていたので、急いで(皇子を)参上させてご覧になったところ、めったいないほど(美しい)赤ん坊の御容姿でいらっしゃいます。
■意味2
いつの間にか、知らないうちに。
[出典]:賢木 源氏物語
「初時雨、いつしかとけしきだつに...」
[訳]:初時雨が降り、いつの間にか(晩秋の)兆候が見えるころ...
■意味3
早くも、すでに。
[出典]:総角 源氏物語
「宮は、いつしかと御文たてまつりたまふ。」
[訳]:宮は、早速お手紙を差し上げなさいました。
■意味4
いつの日か。
[出典]:おらが春 小林一茶
「いつしか、彼をも振り分け髪の丈になして...」
[訳]:いつの日か、この子も振り分け髪(のできる)背丈にして...
②連語
■意味
いつになったら〜だろうか、いつ〜だろうか。
※この用法の場合「いつしか〜む」係り結びの形で用いる。
[出典]:
海賊の恐れ 土佐日記
「その音を聞ゝて、童も嫗も
いつしかと思ほへばにやあらん、いたく喜ぶ。」
[訳]:その声を聞いて、子どもも老人も、
いつになったら(帰れるの
だろうか)と思っていたのだろうか、ひどく喜んでいる。
※係り結びの省略:いつしか「帰らむ」が省略されている。