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源氏物語「若紫・北山の垣間見・若紫との出会い(日もいと長きにつれづれ〜)」のあらすじ・原文
著作名: 走るメロス
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源氏物語『若紫・北山の垣間見・若紫との出会ひ』の本文をあらすじにまとめました

このテキストでは、源氏物語若紫』の一節、「日もいと長きにつれづれなれば〜」から始まる部分のあらすじと原文を記しています。書籍によっては「北山の垣間見」や「若紫との出会ひ」とする題するものもあるようです。



源氏物語とは

源氏物語は平安中期に成立した長編小説です。一条天皇中宮の藤原彰子に仕えた紫式部が作者というのが通説です。


本文をあらすじにまとめました

光源氏は、家来の惟光朝臣と一緒にとある家の中をのぞき見しています。

部屋の中では、品のよさそうな尼が読経をしていました。その他には年配の女房が2人、そして子どもたちが部屋に出たり入ったりして遊んでいます。光源氏は、その中の十歳ぐらいの女の子に目がとまりました。その女の子は他の子どもたちとは違って、成長したらたいそう美しくなるだろうと思われる、いかにも可愛らしい感じの子でした。

女の子は顔を赤くして立っていたので、尼が「子どもたちと喧嘩でもしたのですか?」と尋ねます。尼と女の子は似たところがあるので、2人は親子なのだろうと光源氏は思いました。女の子は、「犬君(一緒に遊んでいた童女)が雀の子を逃してしまったの。せっかく籠の中にいれておいたのに」と言ってとても残念がっています。

それを聞いた女房は、うっかり者の犬君に少し腹を立て、逃げた雀の心配をしながら退出していきました。少納言乳母と呼ばれているこの女房は、きっと女の子の世話役なのでしょう。



原文(本文)

日もいと長きつれづれなれば、夕暮れのいたう霞みたるにまぎれて、かの小柴垣のもとに立ち出で給ふ。人々は帰し給ひて、惟光朝臣とのぞき給へば、ただこの西面にしも、持仏据ゑ奉りて行ふ尼なりけり。簾少し上げて、花奉るめり。

中の柱に寄り居て、脇息の上に経を置きて、いとなやましげに読みゐたる尼君、ただ人見えず。四十余ばかりにて、いと白うあてにやせたれど、面つきふくらかにまみのほど、髪のうつくしげにそがれたる末も、なかなか長きよりもこよなういまめかしきものかなと、あはれに給ふ。

清げなる 大人二人ばかり、さては童べぞ出で入り遊ぶ。中に、十ばかりにやあらむと見えて、白き衣、山吹などの、なえたる着て走り来たる女子、あまた見えつる子どもに似るべうもあらず、いみじく生ひ先見えてうつくしげなる容貌なり。髪は扇をひろげたるやうにゆらゆらとして、顔はいと赤くすりなして立てり。

「何事ぞや。童べと腹立ち給へるか。」


とて、尼君の見上げたるに、少しおぼえたるところあれば、子なめりと見給ふ。

「雀の子を犬君が逃がしつる。伏籠のうちに籠めたりつるものを。」


とて、いと口惜しと思へり。このゐたる大人、

「例の、心なしの、かかるわざをしてさいなまるるこそ、いと心づきなけれ。いづ方へかまかりぬる。いとをかしうやうやうなりつるものを。鳥などもこそ見つくれ。」


とて立ちて行く。
ゆるるかにいと長く、めやすき人なめり。少納言乳母とぞ人言ふめるは、この子の後ろ見なるべし。


現代語訳

源氏物語「若紫・北山の垣間見・若紫との出会い(日もいと長きにつれづれ〜)」わかりやすい現代語訳と解説


品詞分解

源氏物語「若紫・北山の垣間見(日もいと長きにつれづれなれば〜)」の品詞分解(助動詞・敬語など)


著者情報:走るメロスはこんな人

学生時代より古典の魅力に取り憑かれ、社会人になった今でも休日には古典を読み漁ける古典好き。特に1000年以上前の文化や風俗をうかがい知ることができる平安時代文学がお気に入り。作成したテキストの総ページビュー数は2億を超える。好きなフレーズは「頃は二月(にうゎんがつ)」や「月日は百代の過客(くゎかく)にして」といった癖のあるやつ。早稲田大学卒業。

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