ただびと/徒人/直人
このテキストでは、古文単語「
ただびと/徒人/直人」の意味、解説とその使用例を記している。
名詞
■意味1
(神仏に対して)
普通の人間、一般の人。
[出典]:かぐや姫の昇天 竹取物語
「はかなく口惜しと思して、げにただ人にはあらざりけりと思して...」
[訳]:むなしく残念だとお思いになり、本当に(かぐや姫は)普通の人間ではなかったのだなあとお思いになって...
■意味2
(天皇や皇族に対して)
臣下、臣民。
[出典]:ひじき藻 伊勢物語
「まだ帝にも仕うまつり給はで、ただびとにておはしましける時のことなり」
[訳]:まだ天皇にもお仕えし申し上げなさらないで、臣下でいらっしゃった時のことです。
■意味3
一般の貴族、官位の低い人。
[出典]:
若紫・北山の垣間見 源氏物語
「中の柱に寄り居て、脇息の上に経を置きて、いとなやましげに読みゐたる尼君、
ただ人と見えず。」
[訳]:中の柱に寄りかかって座り、肘掛けの上に経をおいて、たいそうだるそうに読経している尼君は、
官位の低い人には見えません。