なかなか
このテキストでは、古文単語「
なかなか」の意味、解説とその使用例を記しています。
※「なかなか」は
①副詞
②感動詞
としての用法がある。
①副詞
■意味1
なまじっか。
[出典]:夕顔 源氏物語
「なかなか恥ぢかかむよりは罪ゆるされてぞ見えける。」
[訳]:なまじっか恥ずかしがって顔をあからめたりするのよりは、かえって罪がないように見えた。
■意味2
かえって、むしろ。
[出典]:
宮に初めて参りたるころ 枕草子
「高坏に参らせたる大殿油なれば、髪の筋なども、
なかなか昼よりも顕証に見えてまばゆけれど、念じて見などす。」
[訳]:高坏にお灯しして差し上げさせた灯火なので、(私の)髪の筋などが、
かえって昼(間の時間帯)よりも際立って見えて恥ずかしいのですが、(気恥ずかしいのを)我慢して(中宮様の出した絵を)拝見したりします。
■意味3
とても〜ない、容易には〜ない。
※この用法の場合、「なかなか〜打消」の形で用いる。
[出典]:謡曲 鉢木
「我ら二人さへ住みかねたる体にて候ふほどに、なかなか思ひもよらず候。」
[訳]:我々二人でさえ暮らしてはいけない状態でございますので、(あなた様をお泊めすることは)とても思いもよらないことでございます。
■意味4
かなり、ずいぶん。
[出典]:東海道中膝栗毛
「なかなかいい菓子だぞ。」
[訳]:かなりよい菓子だぞ。
②感動詞
■意味
(相手の言葉を肯定して、)
いかにも、その通り。
[出典]:狂言 花子
「『すれば御用と仰せらるるはそのことでござるか。』
『なかなか。』」
[訳]:「それでは御用とおっしゃるのはそのことでございますか。」
「いかにも。」