おとな/大人
このテキストでは、古文単語「
おとな/大人」の意味、解説とその使用例を記している。
名詞
■意味1
成人した人、一人前の大人。
[出典]:
筒井筒 伊勢物語
「昔、田舎わたらひしける人の子ども、井のもとにいでて遊びけるを、
おとなになりにければ...」
[訳]:昔、地方をまわって生計をたてていた人の子どもが、井戸の辺りに出て遊んでいたのですが、(2人とも)
一人前の大人になったので...
■意味2
一家の長、中心になるもの。
[出典]:宮仕へ 更級日記
「父はただ、われをおとなにし据ゑて、われは世にもいで交らはず...」
[訳]:父はただ、私を家長にすえて、自分は世間にも出て人と関わることもせずに...
■意味3
経験のある年配の女房や女官。
[出典]:
若紫・北山の垣間見 源氏物語
「清げなる
大人二人ばかり、さては童べぞ出で入り遊ぶ。」
[訳]:こざっぱりとして美しい
年配の女房が二人ばかり、その他には子どもたちが(部屋に)出たり入ったりして遊んでいます。
■意味4
長老、家老、指導者敵人物。
[出典]:弓流 平家物語
「大人ども、爪はじきをして...」
[訳]:家老たちが、つまはじきをして(言うことには)...