新規登録 ログイン

9_80 文章の読み解き / 文章の読み解き

徒然草『花は盛りに』(望月の隈なきを千里の外まで〜)わかりやすい現代語訳と解説

著者名: 走るメロス
Text_level_1
マイリストに追加
徒然草『花は盛りに』(望月の隈なきを千里の外まで〜)原文・現代語訳と解説

このテキストでは、徒然草の一節「花は盛りに」の「望月の隈なきを千里の外まで眺めたるよりも〜」から始まる部分の現代語訳・口語訳とその解説を記しています。




前回のテキスト

「花は盛りに、月は隈なきをのみ見るものかは〜」の現代語訳と解説


徒然草とは

徒然草兼好法師によって書かれたとされる随筆です。清少納言の『枕草子』、鴨長明の『方丈記』と並んで「古典日本三大随筆」と言われています。


原文(本文)

望月隈なきを千里の外まで眺めたるよりも、暁近くなりて待ち出でたるが、いと(※1)心深う青みたるやうにて、深き山の杉の梢に見えたる、木の間の影、うちしぐれたるむら雲隠れのほど、またなくあはれなり。椎柴・白樫などのぬれたるやうなる葉の上にきらめきたるこそ、身にしみて、心あらむ友もがなと、都(※2)恋しうおぼゆれ







すべて、月・花をば、さのみ目にて見るものかは。春は家を立ち去らでも、月の夜は(※3)閨(ねや)のうちながらも思へるこそ、いとたのもしう、をかしけれよきは、ひとへに好けるさまにも見えず、興ずるさまも等閑(なほざり)なり。片田舎の人こそ、色濃くもて興ずれ。花の本には、ねぢ寄り立ち寄りあからめもせずまもりて、酒のみ、連歌して、はては大きなる枝、心なく折り取りぬ。泉には手・足さしひたして、雪にはおりたちて跡つけなど、万の物、よそながら見る事なし。





現代語訳

満月で曇りのなく照っているものを(はるか遠く)千里まで眺めているよりも、明け方近くになって出てくるのを待っていた(月)のが、とても風情があって、青みがかっているようで、山奥の杉の梢に見えている、木の間(からもれる)の月の光や、時雨がさっと降るむら雲に隠れている(月の)様子が、またとなく趣がある。

椎柴や白樫などの濡れているような葉の上にその光がきらきらと輝いているのは、身にしみて、情緒を解するような友がいたらなぁと、都のことが恋しく思われる。



総じて、月や花を、そのように目だけで見るものであろうか、いや違う。春は家を離れずとも(感じられるし)、(秋の)月の夜は寝床にいながらでも(月ことを)心に思っていることが、たいそう期待ができ、趣があるものだ。教養のある人は、むやみに風流を好んでいるようにも見えず、(趣を)楽しむ様子もあっさりとしている。田舎者の人に限って、しつこく何にでも面白がるものだ。







花の元に、にじり寄って近寄って、よそ見もしないでじっと見つめて、酒を飲み連歌をして、最終的には、大きな枝を、分別もなく折り取ってしまう。泉には手や足を浸して、雪には下り立って足跡をつけるなど、あらゆるものを、離れたままで見るということがない。

次ページ:品詞分解・単語・文法解説とテストに出題されそうな問題


1ページへ戻る
前のページを読む
1/2
次のページを読む

Tunagari_title
・徒然草『花は盛りに』(望月の隈なきを千里の外まで〜)わかりやすい現代語訳と解説

Related_title
もっと見る 

Keyword_title

Reference_title
『教科書 高等学校国語総合 古典編』 三省堂
『教科書 精選国語総合』 三省堂
『教科書 国語総合』 筑摩書房
『教科書 高等学校 国語総合』 第一学習社
佐竹昭広、前田金五郎、大野晋 編1990 『岩波古語辞典 補訂版』 岩波書店

この科目でよく読まれている関連書籍

このテキストを評価してください。

※テキストの内容に関しては、ご自身の責任のもとご判断頂きますようお願い致します。

 

テキストの詳細
 閲覧数 482,578 pt 
 役に立った数 436 pt 
 う〜ん数 67 pt 
 マイリスト数 0 pt 

知りたいことを検索!