すべて/総て/凡て
このテキストでは、古文単語「
すべて/総て/凡て」の意味、解説とその使用例を記している。
成り立ち
バ行下二段活用の動詞「すぶ」の連用形に、接続助詞「て」がついてできた言葉。
副詞
■意味1
全部あわせて、全部で、まとめて。
[出典]:古今和歌集
「すべて千歌二十巻、名付けて『古今和歌集』といふ。」
[訳]:全部あわせて歌千首二十巻、名付けて「古今和歌集」という。
■意味2
総じて、およそ、一般に。
[出典]:
花は盛りに 徒然草
「
すべて、月・花をば、さのみ目にて見るものかは。」
[訳]:
総じて、月や花を、そのように目だけで見るものであろうか、いや違う。
■意味3
(すべて〜打消の形で)
まったく〜ない、決して〜ない。
[出典]:
足柄山 更級日記
「人々あはれがるに、声
すべて似るもの
なく、空に澄みのぼりてめでたく歌を歌ふ。」
[訳]:皆感心をしているが、声は
まったく比べようが
なく、空に昇るかのように冴え響いて見事に歌を歌う。