うちしぐる/打ち時雨る
このテキストでは、ラ行下二段活用の動詞「
うちしぐる/打ち時雨る」の意味、活用、解説とその使用例を記している。
ラ行下二段活用
未然形 | うちしぐれ |
連用形 | うちしぐれ |
終止形 | うちしぐる |
連体形 | うちしぐるる |
已然形 | うちしぐるれ |
命令形 | うちしぐれよ |
■意味1:自動詞
時雨がさっと降る、急に曇って雨が断続的に降る。
[出典]:
花は盛りに 徒然草
「望月の隈なきを千里の外まで眺めたるよりも、暁近くなりて待ち出でたるが、いと心深う、青みたるやうにて、深き山の杉の梢に見えたる、木の間の影、
うちしぐれたるむら雲隠れのほど、またなくあはれなり。」
[訳]:満月で曇りのなく照っているものを(はるか遠く)千里まで眺めているよりも、明け方近くになって出てくるのを待っていた(月)のが、とても風情があって、青みがかっているようで、山奥の杉の梢に見えている、木の間(からもれる)の月の光や、
時雨がさっと降るむら雲に隠れている(月の)様子が、またとなく趣がある。
■意味2:自動詞
涙ぐむ、涙にぬれる。
[出典]:若菜上 源氏物語
「まみのあたりうちしぐれて、ひそみゐたり。」
[訳]:(明石の尼君は)目のあたりは涙にぬれて、泣き顔で座っています。