くまなし/隈無し
このテキストでは、ク活用の形容詞「
くまなし/隈無し」の意味、活用、解説とその使用例を記している。
形容詞・ク活用
未然形 | くまなく | くまなから |
連用形 | くまなく | くまなかり |
終止形 | くまなし | ◯ |
連体形 | くまなき | くまなかる |
已然形 | くまなけれ | ◯ |
命令形 | ◯ | くまなかれ |
■意味1
影がない、曇りがない、光の届かないところがない。
[出典]:
花は盛りに 徒然草
「花は盛りに、月は
隈なきをのみ見るものかは。」
[訳]:花は満開のときだけを、月は
雲りがないのだけを見るものであろうか、いやそうではない。
■意味2
隠すところがない、残すところがない。
[出典]:帚木 源氏物語
「くまなく見集めたる人の言ひしことは、げに。」
[訳]:残すところがなく(女性と)多く接している人の言ったことは、本当に(その通りである)。
■意味3
なんでも知っている、精通している。
[出典]:帚木 源氏物語
「くまなきもの言ひも、定めかねて...」
[訳]:(女性のことは)なんでも知っている口の達者な人も...