伊勢物語『筒井筒』
このテキストでは、
伊勢物語の23段「
筒井筒」の「
昔、田舎わたらひしける人の〜」から始まる部分の品詞分解を記しています。3回にわけて解説していますが、このテキストはその1回目です。
※現代語訳:
「昔、田舎わたらひしける人の〜」わかりやすい現代語訳
※
伊勢物語は平安時代初期に書かれた歌物語です。作者は未詳ですが、
在原業平がモデルではないかと言われています。
品詞分解
※名詞は省略しています。
■昔、田舎わたらひしける人の子ども、井のもとにいでて遊びけるを、おとなになりにければ、男も女も恥ぢかはしてありけれど、男はこの女をこそ得めと思ふ。
昔、 | ー |
田舎わたらひ | ー |
し | サ行変格活用「す」の連用形 |
ける | 過去の助動詞「けり」の連体形 |
人 | ー |
の | 格助詞 |
子ども、 | ー |
井 | ー |
の | 格助詞 |
もと | ー |
に | 格助詞 |
いで | ダ行下二段活用「いづ」の連用形 |
て | 接続助詞 |
遊び | バ行四段活用「あそぶ」の連用形 |
ける | 過去の助動詞「けり」の連体形 |
を、 | 接続助詞 |
おとな | ー |
に | 格助詞 |
なり | ラ行四段活用「なる」の連用形 |
に | 完了の助動詞「ぬ」の連用形 |
けれ | 過去の助動詞「けり」の已然形 |
ば、 | 接続助詞 |
男 | ー |
も | 係助詞 |
女 | ー |
も | 係助詞 |
恥ぢかはし | サ行四段活用「はぢかはす」の連用形 |
て | 接続助詞 |
あり | ラ行変格活用「あり」の連用形 |
けれ | 過去の助動詞「けり」の已然形 |
ど、 | 接続助詞 |
男 | ー |
は | 係助詞 |
こ | 代名詞 |
の | 格助詞 |
女 | ー |
を | 格助詞 |
こそ | 係助詞 |
得 | ア行下二段活用「う」の未然形 |
め | 意志の助動詞「む」の已然形 |
と | 格助詞 |
思ふ。 | ハ行四段活用「おもふ」の終止形 |
■女はこの男をと思ひつつ、親のあはすれども、聞かでなむありける。さて、この隣の男のもとより、かくなむ、
女 | ー |
は | 格助詞 |
こ | 代名詞 |
の | 格助詞 |
男 | ー |
を | 格助詞 |
と | 格助詞 |
思ひ | ハ行四段活用「おもふ」の連用形 |
つつ、 | 接続助詞 |
親 | ー |
の | 格助詞 |
あはすれ | サ行下二段活用「あはす」の已然形 |
ども、 | 接続助詞 |
聞か | カ行四段活用「きく」の未然形 |
で | 接続助詞 |
なむ | 係助詞 |
あり | ラ行変格活用「あり」の連用形 |
ける。 | 過去の助動詞「けり」の連体形 |
さて、 | 接続詞 |
こ | 代名詞 |
の | 格助詞 |
隣 | ー |
の | 格助詞 |
男 | ー |
の | 格助詞 |
もと | ー |
より、 | 格助詞 |
かく | 副詞 |
なむ、 | 係助詞 |
【「あはす」の意味は?】
■「筒井つの井筒にかけしまろがたけ過ぎにけらしな妹見ざるまに」女、返し、「くらべこし振り分け髪も肩過ぎぬ君ならずしてたれかあぐべき」など言ひ言ひて、つひに本意のごとくあひにけり。
「筒井 | ー |
つ | 未詳 |
の | 格助詞 |
井筒 | ー |
に | 格助詞 |
かけ | カ行下二段活用「かく」の連用形 |
し | 過去の助動詞「き」の連体形 |
まろ | 代名詞 |
が | 格助詞 |
たけ | ー |
過ぎ | ガ行上二段活用「すぐ」の連用形 |
に | 完了の助動詞「ぬ」の連用形 |
けらし | 過去推量の助動詞「けらし」の終止形 |
な | 詠嘆の終助詞 |
妹 | ー |
見 | マ行上一段活用「見る」の未然形 |
ざる | 打消の助動詞「ず」の連体形 |
ま | ー |
に」 | 格助詞 |
女、 | ー |
返し、 | 名詞 |
「くらべ | バ行下二段活用「くらぶ」の連用形 |
こ | カ行変格活用「く」の未然形 |
し | 過去の助動詞「き」の連体形 |
振り分け髪 | ー |
も | 係助詞 |
肩 | ー |
過ぎ | ガ行上二段活用「すぐ」の連用形 |
ぬ | 完了の助動詞「ぬ」の終止形 |
君 | 代名詞 |
なら | 断定の助動詞「なり」の未然形 |
ず | 打消の助動詞「ず」の連用形 |
して | 接続助詞 |
たれ | 代名詞 |
か | 係助詞 |
あぐ | ガ行下二段活用「あぐ」の終止形 |
べき」 | 推量・意志・当然の助動詞・連体形 |
など | 副助詞 |
言ひ | ハ行四段活用「いふ」の連用形 |
言ひ | ハ行四段活用「いふ」の連用形 |
て、 | 接続助詞 |
つひに | 副詞 |
本意 | ー |
の | 格助詞 |
ごとく | 比況の助動詞「ごとし」の連用形 |
あひ | ハ行四段活用「あふ」の連用形 |
に | 完了の助動詞「ぬ」の連用形 |
けり。 | 過去の助動詞「けり」の終止形 |
※つづく:
「さて、年ごろ経るほどに〜」の品詞分解
※現代語訳:
「昔、田舎わたらひしける人の〜」わかりやすい現代語訳