あふ/会う/遭ふ/逢ふ
このテキストでは、ハ行四段活用の動詞「
あふ/会う/遭ふ/逢ふ」の意味、活用、解説とその使用例を記している。
「あふ」には
①会う/遭ふ/逢ふ
②合ふ
③敢ふ
④和ふ/韲ふ
⑤饗ふ
などの用法があるが、ここでは「①会う/遭ふ/逢ふ」を扱う。
ハ行四段活用
未然形 | あは |
連用形 | あひ |
終止形 | あふ |
連体形 | あふ |
已然形 | あへ |
命令形 | あへ |
■意味1:自動詞
出会う、遭遇する、対面する。
[出典]:
東下り 伊勢物語
「宇津の山にいたりて、わが入らむとする道はいと暗う細きに、つたかえでは茂り、物心ぼそく、すずろなるめを見ることと思ふに、修行者
あひたり。」
[訳]:宇津の山について、(これから)自分が入ろうとする道は、とても暗く細く、(おまけに)つたや楓が茂っていたので、なんとなく心細く、(この道を行くと)思いがけない目に遭うのだろうと思っていたところ、修行者に
出会いました。
■意味2:自動詞
結婚する。
[出典]:
筒井筒 伊勢物語
「...など言ひ言ひて、つひに本意のごとく
あひにけり。」
[訳]:...などと言い交わして、ついに念願かなって
結婚したのでした。
■意味3:自動詞
(機会などに)
出くわす、適合する。
[出典]:
いでや、この世に生まれては 徒然草
「それより下つ方は、ほどにつけつつ、時に
あひ、したり顔なるも...」
[訳]:それよりも(身分が)下の人は、身分に応じて、時代に
あわせて(栄え)、得意顔をするのも...
■意味4:自動詞
立ち向かう、戦う、対抗する。
[出典]:万葉集
「香具山と耳梨山とあひしとき立ちて見に来し印南国原」
[訳]:香具山と耳梨山とが争ったときに、(阿菩の大神が)立って見に来た印南国原よ