新規登録 ログイン

9_80 文章の読み解き / 文章の読み解き

『中納言参りたまひて』 枕草子 わかりやすい現代語訳と解説

著者名: 走るメロス
Text_level_1
マイリストに追加
『中納言参りたまひて』

このテキストでは、清少納言が書いた枕草子の中から、「中納言参りたまひて」の現代語訳・口語訳とその解説をしています。敬語の向きについては最後に記してあります。



※清少納言は平安時代中期の作家・歌人です。一条天皇の皇后であった中宮定子に仕えました。
この物語の要約・おもしろさ

 この物語には主語の無い敬語が多く、しかも、敬語の向きや文意が読み取りにくいので注意が必要です。この物語は、藤原隆家が清少納言たちに「珍しい骨を手に入れた」と自慢をしにくるところから始まります。その話を聞いた清少納言は「これまで見たことのない素晴らしい骨だなんて言ってるけど、本当はくらげの骨なんじゃないの?(くらげに骨なんかありませんけど)」と気の利いたことを藤原隆家に言いました。
 すると藤原隆家は「そのコメントもらった!」と言って清少納言のコメントを自分のものにしてしまいました。さらっと口にしたことが目上の人に感心されたという自慢話を書くようできまりが悪いので、本当はそのことを隠しておきたいのだけど、人々がきちんと書いて記録しておくようにというので、清少納言は悩んでいるのです。


原文

(※1)中納言(※2)参りたまひて、御扇(※3)奉らせたまふに、
「隆家(※4)こそいみじき骨はてはべれ。それをはらせて(※5)参らせとするに、(※6)おぼろけの紙は(※7)え張るまじければ、(※8)求めはべるなり。」

(※9)申したまふ
いかやうにかある。」

(※10)問ひ聞こえさせたまへば
「すべて(※11)いみじうはべり。『(※12)さらにまだ見ぬ骨のさまなり。』となむ(※13)人々申すまことにかばかりのは見えざりつ。」



と、(※14)言高くのたまへ
さては、扇のにはあらで、海月の(※15)ななり。」

(※16)聞こゆれば、
「これは隆家が言にしてむ。」

とて(※17)笑ひたまふ

(※18)かやうのことこそは、かたはらいたきことのうちに入れつべけれど、
「一つ(※19)な落とし。」

と言へば、いかがはせむ。

現代語訳(口語訳)

中納言が参上なさって、(中宮定子様に)扇を献上なさるときに、
「(私)隆家は素晴らしい骨を手に入れております。それに(紙を)張らせて(中宮様に)さしあげようと思うのですが、ありきたりな紙を張ることはできないので、(それ相応の紙を)探しているのです。」

と申し上げなさいます。(中宮様が)



「(その骨は)どのような物なのですか。」

とお尋ね申し上げなさると、
(中納言は)
「すべてが素晴らしいです。『まったく今まで見たことのない骨の様子です。』と人々が申します。本当にこれほどの(骨)は見たことがありません。」

と声を大きくおっしゃるので、(私が)
「それでは、扇の(骨)ではなくて、くらげの(骨)のようですね。」

と申し上げると、(中納言は)
「これは隆家が言ったことにしてしまおう。」

といってお笑いになります。

このようなことは、(書かないで)きまりが悪いことの中に入れておくべきですが、
「1つも書き漏らしてはいけない。」

と(周囲の人々が私に)言うので、どうしたものだろうか、いやどうしようもない(ので書き記しておきます)。

次ページ:品詞分解・敬語の向き・その他解説とテストに出題されそうな問題

1ページへ戻る
前のページを読む
1/2
次のページを読む

Related_title
もっと見る 

Keyword_title

Reference_title
『教科書 新編国語総合』 第一学習社
『教科書 精選古典B 古文編』 東京書籍
佐竹昭広、前田金五郎、大野晋 編1990 『岩波古語辞典 補訂版』 岩波書店

この科目でよく読まれている関連書籍

このテキストを評価してください。

※テキストの内容に関しては、ご自身の責任のもとご判断頂きますようお願い致します。

 

テキストの詳細
 閲覧数 777,285 pt 
 役に立った数 1,540 pt 
 う〜ん数 120 pt 
 マイリスト数 0 pt 

知りたいことを検索!

まとめ
このテキストのまとめは存在しません。