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古文単語「おとす/落とす/貶す」の意味・解説【サ行四段活用】

著者名: 走るメロス
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おとす/落とす/貶す

このテキストでは、サ行四段活用の動詞「おとす/落とす/貶す」の意味、活用、解説とその使用例を記している。

サ行四段活用

未然形おとさ
連用形おとし
終止形おとす
連体形おとす
已然形おとせ
命令形おとせ


意味1:他動詞

落下させる

[出典]:宇治拾遺物語
「口ひきける男、あしくひきて聖の馬を堀へ落としてげり。」

[訳]:馬の口を引いていた男が、下手に引いたので、高僧の(乗った)馬を堀へ落としてしまった。


意味2:他動詞

(花や葉を)
散らす



意味3:他動詞

勢いよく下りさせる

[出典]: 坂落 平家物語
「まづ三十騎ばかり、まっさきかけて落とされけり。」

[訳]:最初に三十騎ほど、(その中でも義経が)先頭を駈けて(馬を)勢い良くお下ろしになる。


意味4:他動詞

見落とす、漏らす

[出典]中納言参りたまひて 枕草子
「かやうのことこそは、かたはらいたきことのうちに入れつべけれど、『一つな落としそ。』と言へば、いかがはせむ。 」

[訳]:このようなことは、(書かないで)きまりが悪いことの中に入れておくべきですが、 「1つでも書き漏らしてはいけない。」と(周囲の人々が私に)言うので、どうしたものだろうか、いやどうしようもない(ので書き記しておきます)。




意味5:他動詞

なくす、紛失する

[出典]:若菜下 源氏物語
「昨夜のかはほりをおとして。これは風ぬるくこそありけれ。」

[訳]:昨夜の扇をなくして。これでは風がなま温いな。


意味6:他動詞

逃がす、こっそり逃げさせる

[出典]:太平記
「これは謀反の輩を落とさじがための謀なり。」

[訳]:これは謀反のやからを逃がさないための策略である。




意味7:他動詞

劣った状態にする、劣った扱いをする

[出典]:少女 源氏物語
「いま一方の御けしきも、をさをさおとし給はで...」

[訳]:もうお一方のご様子も、ほとんど劣った扱いをなさらないで...


意味8:他動詞

侮る、見下げる、軽く見る

[出典]:若菜下 源氏物語
「人に落とされたまへる御ありさまとて...」

[訳]:人に侮られていらっしゃる御様子だからといって...




意味9:他動詞

調子を下げる

[出典]:若菜下 源氏物語
「琵琶を取り寄せて「衣がへ」をひとわたり落として...」

[訳]:琵琶を手元にたぐり寄せて「衣がへ」を一段調子を下げて...


意味10:他動詞

攻め取る、陥落させる

[出典]:太平記
「この城を大手より攻めば、人のみ討たれて落とすことありがたし。」

[訳]:この城を正面から攻めても、人だけが討たれて(城を)陥落させることはむずかしい。

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ベネッセ全訳古語辞典 改訂版 Benesse
全訳読解古語辞典 第四版 三省堂

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