源氏物語『蓬生』のわかりやすいあらすじ・主な登場人物の紹介
このテキストでは、
源氏物語の第十五帖『
蓬生』(よもぎう)のあらすじを短くわかりやすく記しています。その他、主な登場人物などもまとめています。
蓬生のあらすじ
久々に
末摘花の登場です。光源氏の援助を受けてきた末摘花でしたが、彼が須磨に蟄居したことにより生活は困窮を極めていました。従者たちも次々と末摘花のもとを離れ、屋敷は荒廃しています。残った従者たちが、常陸宮(末摘花の父)の遺産を売って食い扶持をかせごうと提案するも、高貴な育ちである彼女のプライドがそれを許しません。光源氏に手紙を書く勇気もなく、ただただ光源氏が訪ねてくるのを気高く待ち続けているのでした。
光源氏が明石から都に戻ってきたと聞いて期待に胸を弾ませますが、光源氏は末摘花の存在を完全に忘れており、なかなか訪れることはありませんでした。帰京してから1年近く経ち、ようやく光源氏は末摘花のもとを訪れました。
花散里のもとへ向かう道中、たまたま末摘花の屋敷の前を通り、その存在を思い出したのです。
光源氏が末摘花と初めて会ってから約10年、ひたすら彼のことを待ち続けていた末摘花に光源氏は心を打たれ、彼女のもとを訪れるのでした。再び末摘花の援助を始めた光源氏は、
二条東院に彼女を引き取ったのでした。
主な登場人物
■光源氏(28歳~29歳)
■末摘花
源氏物語に登場する女君の中で、その容姿についてはとてもネガティブに表現されている異色の姫君。容姿だけではなく、世間とずれた振る舞いや滑稽なまでに古風で気の利かない性格が、彼女を不器用だが憎めないキャラクターとして印象付けている。しかし性格は実直そのもの。
■末摘花の叔母
末摘花に、荒廃した屋敷を出て、自身が嫁いだ田舎に引っ越さないかと提案する。末摘花が頼りにしていた女房を無理やり引き取るなど、意地悪な一面が目立つ。
源氏物語とは
源氏物語は平安中期に成立した長編小説です。一条天皇中宮の藤原彰子に仕えた
紫式部が作者とするのが通説です。
おすすめの書籍
【あさきゆめみし】
源氏物語は、文字で読むには非常に難解な物語だと思います。一人の人物を指す言葉が何パターンもあるというのが理由の一つです。例えば第一帖「
桐壺」に出てくる
・男御子
・御子
・君
・若宮
・宮
・源氏の君
・光る君
・源氏
という言葉はすべて、光源氏のことを指しています。光源氏の初恋の相手である藤壺を指す言葉は「先帝の四の宮、后の宮の姫宮、藤壺、御方、宮、かかやく日の宮」、桐壺更衣をいじめる弘徽殿女御を指す言葉は「右大臣の女御、一の御子の女御、弘徽殿、御方、女御、弘徽殿の女御、春宮の女御」と、非常に多くの表現が用いられており、このことが源氏物語を読みづらくしている要因の一つだと思います。そこでお勧めなのが漫画でイメージを掴むことです。特にここで紹介する
あさきゆめみしは、半世紀近く読み親しまれてきた漫画の決定版だと思います。
読むのが難解な源氏物語を、まずは漫画で気軽に感じてみてはいかがでしょうか。
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