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古文単語「まゐらす/参らす」の意味・解説【サ行下二段活用/連語】

著者名: 走るメロス
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まゐらす/参らす

このテキストでは、古文単語「まゐらす/参らす」の意味、活用、解説とその使用例を記しています。

「参らす」には、
①サ行下二段活用
②連語
の2つの活用方法があるので、混同しないように注意が必要。

①サ行下二段活用

未然形まゐらせ
連用形まゐらせ
終止形まゐらす
連体形まゐらする
已然形まゐらすれ
命令形まゐらせよ


※ラ行四段活用の動詞「参る」の未然形「まゐら」と使役の助動詞「す」がくっついた形であるが、使役の意味が消えて一語となっている

意味1:他動詞

(「与ふ/遣る」の謙譲語で)
差し上げる、献上する

[出典]中納言参りたまひて 枕草子
「隆家こそいみじき骨は得てはべれ。それをはらせて参らせむとするに、おぼろけの紙はえ張るまじければ、求めはべるなり。」

[訳]:私、隆家は、素晴らしい骨を手に入れました。その骨に紙を張らせて(中宮様に)差し上げようと思うのですが、ありきたりな紙を張ることはできないので、(それ相応の紙を)探しているところです。


意味2:補助動詞

お〜申し上げる、〜て差し上げる

[出典]宇治川の先陣 平家物語
「橋をばまたたれか渡いてまゐらすべき。治承の合戦に足利又太郎忠綱は鬼神で渡しけるか。重忠瀬踏みつかまつらむ。」

[訳]:「橋をまた誰が架けて差し上げることができましょうか、いやできないでしょう。治承の合戦のときに足利又太郎忠綱は、鬼神であったから渡ったのでしょうか。この重忠が瀬踏みを致しましょう。




②連語

ラ行四段活用の動詞「参る」の未然形「まゐら」と使役の助動詞「す」がくっついた形であり、こちらは①「参らす」と異なり、使役の意味が残っている。そもそも「参らす」はこちらの意味が始まり。

意味1

(「与ふ/遣る」の謙譲語で)
参上させる、伺わせる

[出典]桐壷 源氏物語
「いつしかと心もとながらせ給ひて、急ぎ参らせて御覧ずるに、めづらかなる稚児の御容貌なり。」

[訳]:(帝は子どもを)早く(見たい)と待ち遠しくお思いになられていたので、急いで(皇子を)参上させてご覧になったところ、めったいないほど(美しい)赤ん坊の御容姿でいらっしゃいます。


意味2

〜てし差し上げさせる

[出典]宮に初めて参りたるころ 枕草子
「高坏に参らせたる大殿油なれば...」

[訳]:高坏にお灯しして差し上げさせた灯火なので...

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ベネッセ全訳古語辞典 改訂版 Benesse
全訳読解古語辞典 第四版 三省堂

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