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枕草子『はしたなきもの』(はしたなきもの。異人を呼ぶに、われぞとさし出でたる。)現代語訳と解説 |
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著作名:
走るメロス
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このテキストでは、枕草子の一節「はしたなきもの」の『はしたなきもの。異人を呼ぶに、われぞとさし出でたる〜』から始まる部分の原文、現代語訳・口語訳とその解説を記しています。
枕草子は清少納言によって書かれたとされる随筆です。清少納言は平安時代中期の作家・歌人で、一条天皇の皇后であった中宮定子に仕えました。ちなみに枕草子は、兼好法師の『徒然草』、鴨長明の『方丈記』と並んで「古典日本三大随筆」と言われています。
はしたなきもの。異人を呼ぶに、われぞとさし出でたる。物などとらするをりはいとど。おのづから人の上など打ち言ひそしりたるに、幼き子どもの聞き取りて、その人のあるに言ひ出でたる。
あはれなることなど、人の言ひ出で、うち泣きなどするに、げにいとあはれなりなど聞きながら、涙のつと出で来ぬ、いとはしたなし。泣き顔つくり、けしき異になせど、いとかひなし。めでたきことを見聞くには、まづただ(※1)出で来(き)にぞ出で来(く)る。
きまりが悪いもの。他の人を呼んだのに、自分のことと(勘違いして)でしゃばってしまうこと。物などを与えるときはいっそう(きまりが悪い)。たまたま人の身の上などを何気なく口にして悪く言ったりしていると、幼い子どもが聞いて覚えていて、本人がいるときに口に出してしまうこと。
しみじみと心打たれることなどを、人が口に出して、声をあげて泣いたりなどする時に、本当にとても気の毒だと聞きながら、涙が急に出てこないのは、とてもきまりが悪い。泣き顔を装い、そぶりも(共感して悲しんでいるように)普通ではない様子をするのだが、まったく効き目がない。(反対に)喜ばしいことを見聞きするのに、真っ先に(涙が)ひたすら出てくる(のできまりが悪い)ものだ。
『はしたなきもの』の品詞分解(助動詞・動詞の活用など)
前半の「出で来」は、カ行変格活用「出で来」の連用形。一方後半の「出で来る」は、係助詞「ぞ」を受けた係り結びとなっており、活用は連体形。そのため「いでくる」と読むので注意。
・枕草子『春はあけぼの』
・枕草子『宮に初めて参りたるころ』
・枕草子『二月つごもりごろに』
・枕草子『うつくしきもの』
・枕草子『中納言参りたまひて』
・枕草子『雪のいと高う降りたるを』
・枕草子『九月ばかり』
・枕草子『ありがたきもの』
・枕草子『すさまじきもの』
・枕草子『にくきもの』
・枕草子『大納言殿参り給ひて』
学生時代より古典の魅力に取り憑かれ、社会人になった今でも休日には古典を読み漁ける古典好き。特に1000年以上前の文化や風俗をうかがい知ることができる平安時代文学がお気に入り。作成したテキストの総ページビュー数は1,6億回を超える。好きなフレーズは「頃は二月(にうゎんがつ)」や「月日は百代の過客(くゎかく)にして」といった癖のあるやつ。早稲田大学卒業。
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