「いでく/出で来」の意味・活用・使用例【カ行変格活用】】
このテキストでは、カ行変格活用の動詞「
いでく/出で来」の意味、活用、解説とその使用例を記している。
カ行変格活用
未然形 | いでこ |
連用形 | いでき |
終止形 | いでく |
連体形 | いでくる |
已然形 | いでくれ |
命令形 | いでこ(こよ) |
■意味1:自動詞
出てくる、姿を現す、出現する。
[出典]:
木曾最期 平家物語
「武蔵国にきこえたる大力、御田八郎師重、三十騎ばかりで
出で来たり。」
[訳]:武蔵国に名高大力、御田八郎師重が、30騎ばかりを伴って
現れた。
■意味2:自動詞
生じる、起こる、発生する、できる。
[出典]:
筒井筒 伊勢物語
「河内の国高安の郡に、行き通ふ所
いできにけり。」
[訳]:河内の国、高安の郡に、通って行くところ(新しい女)が
できたのでした。
■意味3:自動詞
巡ってくる、出くわす。
[出典]:
黒鳥のもとに・白波 土佐日記
「おぼろけの願によりてにやあらむ、風も吹かず、よき日
出で来て、漕ぎ行く。」
[訳]:格別な祈願によってであろうか、風も吹かないで、よい天気が
巡ってきて、(船を)こいで行く。
■意味4:自動詞
出来上がる、完成する、できる(可能)。
[出典]:
児のそら寝 宇治拾遺物語
「片方に寄りて、寝たるよしにて、
出で来るを待ちけるに...」
[訳]:(部屋の)片隅に寄って、寝たふりをして、
出来上がるのを待っていたところ...