「いみじう泣く人ある」の現代語訳・口語訳・意味・品詞分解
原文
かたちのいと
めでたく おはしければ、盗みて
おひて出でたりけるを、御兄堀河の大臣、太郎国経の大納言、まだ
下臈にて内裏へ参り給ふに、
いみじう泣く人あるを
聞きつけて、
とどめてとりかへし給うてけり。
現代語訳・口語訳・意味
(二条の后の)容貌がとても美しくていらっしゃったので、(男が二条の后を)盗んで背負って出ていったのを、(二条の后の兄である)堀河の大臣(基経)、長兄の大納言国経が、まだ官位が低くて宮中へ参上なさるときに、
ひどく泣く人(二条の后)がいるのを聞きつけて、(男を)引き止めて(二条の后を)お取り返しなさったのでした。
品詞分解
| 単語 | 品詞 |
| いみじう | 形容詞・シク活用「いみじ」の連用形「いみじく」のウ音便 |
| 泣く | カ行四段活用「なく」の連体形 |
| 人 | 名詞 |
| ある | ラ行変格活用「あり」の連体形 |
主な出典
【伊勢物語「芥川」】
これは、二条の后の、いとこの女御の御もとに、仕うまつるやうにてゐ給へりけるを、かたちのいとめでたく おはしければ、盗みておひて出でたりけるを、御兄堀河の大臣、太郎国経の大納言、まだ下臈にて内裏へ参り給ふに、いみじう泣く人あるを聞きつけて、とどめてとりかへし給うてけり。それをかく鬼とは言ふなりけり。まだいと若うて、后のただにおはしける時とや。