とどむむ/止む/留む/停む
このテキストでは、古文単語「
とどむむ/止む/留む/停む」の意味、活用、解説とその使用例を記している。
「とどむ」には
①マ行上二段活用
②マ行下二段活用
の用法がある。
①マ行上二段活用
未然形 | とどみ |
連用形 | とどみ |
終止形 | とどむ |
連体形 | とどむる |
已然形 | とどむれ |
命令形 | とどみよ |
※通常、連用形の用法のみが用いられる。
■意味:他動詞
とめる、停止させる。
[出典]:万葉集
「常盤なすかくしもがもと思へども世の理なれば留みかねつも」
[訳]:常磐(変わることのない岩石)のようにこのようにありたいと思うけれど、(老いや死は)この世の定めなのでとめることはできないものよ
②マ行下二段活用
未然形 | とどめ |
連用形 | とどめ |
終止形 | とどむ |
連体形 | とどむる |
已然形 | とどむれ |
命令形 | とどめよ |
■意味1:他動詞
止める、制止する、引き止める。
[出典]:
かぐや姫の昇天 竹取物語
「え
とどむまじければ、たださし仰ぎて泣きをり。 」
[訳]:
引き止めることができそうにないので、(おばあさんは、)ただ仰ぎ見て泣いています。
■意味2:他動詞
中止する、やめる。
[出典]:古今著聞集
「それより長く猿を射ることをばとどめてけり。」
[訳]:それから長く、猿を射ることをやめたのでした。
■意味3:他動詞
心や目・耳にとめる、注意を向ける、関心を寄せる。
[出典]:葵 源氏物語
「常よりは目とどめて見出して臥したまへり。」
[訳]:いつもよりは目にとめて見送りながら横になっていらっしゃる。
■意味4:他動詞
あとに残す、残しておく。
[出典]:かぐや姫の昇天 竹取物語
「帝、かぐや姫をとどめて帰り給はむことを、あかず口惜しく思しけれど...」
[訳]:帝は、かぐや姫をあとに残してお帰りになることを、不満で残念にお思いでしたが...