「おのづから障りも出でまうで来なむ」の現代語訳・口語訳・意味・品詞分解・敬意の向き
原文
粟田殿の、「いかにかくは思し召しならせおはしましぬるぞ。
ただ今過ぎば、
おのづから障りも出でまうで来なむ。」と、そら泣きし給ひけるは。
現代語訳・口語訳・意味
粟田殿が、「どうしてそのように(お手紙を持って行こうと)お思いになられたのですか。今が過ぎれば、
自然と(人の目を避けて出て行くのに)支障もでてまいりましょう。」と、嘘泣きをなさったのです。
品詞分解
| 単語 | 品詞 | 敬意の向き |
| おのづから | 副詞 | ー |
| 障り | 名詞 | ー |
| も | 係助詞 | ー |
| 出でまうで来 | 「出で来」の謙譲語。カ行変格活用「いでまうでく」の連用形 | 粟田殿→花山天皇 |
| な | 強意の助動詞「ぬ」の未然形 | ー |
| む。」 | 推量の助動詞「む」終止形 | ー |
主な出典
【大鏡「花山院の出家」】
さやけき影を、まばゆく思し召しつるほどに、月の顔にむら雲のかかりて、少し暗がりゆきければ、「わが出家は成就するなりけり。」と仰せられて、歩み出でさせ給ふほどに、弘徽殿の女御の御文の、日ごろ破り残して御身も放たず御覧じけるを思し召し出でて、「しばし。」とて、取りに入りおはしましけるほどぞかし、粟田殿の、「いかにかくは思し召しならせおはしましぬるぞ。ただ今過ぎば、おのづから障りも出でまうで来なむ。」と、そら泣きし給ひけるは。