暗黒時代とは
古代ギリシアの暗黒時代(初期鉄器時代)は、紀元前12世紀以降400年間の時期を指し、この時代はミケーネ文明の崩壊と線文字Bの消失によって特徴づけられます。この時代は「暗黒時代」と呼ばれることがありますが、それはこの期間についての書かれた記録がほとんど残っていないためです。しかし、現代の研究により、この時代が一度考えられていたほど「暗い」時代ではなかったことが明らかになっています。
暗黒時代の背景
暗黒時代は、ミケーネ文明の終焉とともに始まりました。ミケーネ文明は、大規模な宮殿を中心に都市が形成され、貿易や文化の発展を支えていました。しかし、紀元前1200年頃に起きたブロンズ時代崩壊により、ミケーネ文明は突然の終わりを迎え、線文字Bも使用されなくなりました。
社会と文化の変化
暗黒時代には、ギリシア本土とエーゲ海地域で大規模な集落の破壊と社会経済システムの崩壊が見られました。多くの宮殿や都市が放棄され、人口の減少や飢餓が広がったと考えられています。この時代の終わり頃には、新しい政治体制や社会構造が徐々に形成され始め、古典ギリシア時代へとつながる道筋が築かれました。
芸術と宗教
暗黒時代の芸術は、ミケーネ時代の豪華な装飾品や壁画とは異なり、より簡素で機能的なものでした。しかし、この時代には新しい芸術様式が生まれ、後のギリシア芸術に影響を与えることになります。宗教的な面では、神々の信仰は続いていましたが、神話や伝説が口承で伝えられるようになり、後の文学作品に大きな影響を与えました。
経済と貿易
経済面では、暗黒時代には貿易ネットワークが崩壊し、地域間の交流が減少しました。しかし、この時代の終わりには、新しい貿易ルートが開拓され、地中海全域にわたる交易が再開されるきっかけとなりました。
暗黒時代の終わりとその後
暗黒時代の終わり頃には、ギリシア文字が発展し、新しい都市国家(ポリス)が形成され始めました。これは、ギリシア文明が再び興隆する兆しとされ、ポリス世界の勃興への移行期となりました。