インド
インド共和国(以下「インド」、英語ではRepublic of India)は、南アジアに位置し、インド亜大陸(インド半島)の大半を領してインド洋に面する連邦共和制国家です。首都はニューデリー(または「デリー」とも)です。
このテキストでは、インドの特徴を「国土」、「人口と人種」、「言語」、「主な産業」、「主な観光地」、「文化」、「スポーツ」、「日本との関係」の8つのカテゴリに分けて詳しく見ていき、同国の魅力や国際的な影響力について考えていきます。
1.国土
インドの国土面積は約328万7,469平方キロメートルで、これは世界で7番目の広さを誇ります。北はヒマラヤ山脈、南はインド洋に面し、西はアラビア海、東はベンガル湾に囲まれています。国土は多様な地形を持ち、北部の山岳地帯、中部の平原、南部の高原、そして東西の沿岸部といった地域に分かれています。また、インドはパキスタン、中国、ネパール、ブータン、バングラデシュ、ミャンマーと国境を接しており、海を隔ててスリランカやモルディブとも近接しています。
2.人口と人種
人口は約14億1,717万人(2022年:世界銀行)であり、世界で最も人口の多い国の一つです。民族的には、インド・アーリヤ系、ドラヴィダ系、モンゴロイド系など、多様な人種が共存しています。この多様性は、各地域の文化や伝統、言語に反映されており、インド社会の豊かなモザイクを形成しています。
3.言語
インドの連邦公用語はヒンディー語、そして英語です。さらに、インド憲法では21の州公用語が認められており、各州や地域で独自の言語が日常的に使用されています。主要な言語には、ベンガル語、テルグ語、マラーティー語、タミル語、ウルドゥー語、グジャラート語、カンナダ語、マラヤーラム語、オリヤー語、パンジャーブ語、アッサム語などがあります。この言語の多様性は、インドの文化的豊かさを象徴しています。
4.主な産業
農業、工業、サービス業が主要な産業です。農業では、米、小麦、綿花、茶、コーヒー、香辛料などの生産が盛んで、世界有数の農業生産国として知られています。工業分野では、鉄鋼、化学、繊維、自動車、情報技術(IT)などが重要な役割を果たしています。特にIT産業は急速に成長しており、バンガロールやハイデラバードなどの都市は「インドのシリコンバレー」として世界的に注目されています。サービス業も経済の大きな部分を占めており、金融、通信、観光などが含まれます。
5.主な観光地
インドには、歴史と美しい自然を有する観光地が数多く存在します。世界遺産に登録されているタージ・マハル(アグラ)は、その建築美で世界中の観光客を魅了しています。首都デリーには、レッド・フォートやクトゥブ・ミナールなどの歴史的建造物があり、ムガル帝国時代の遺産を感じることができます。また、ジャイプールのアンベール城やウダイプールの湖宮殿など、ラージャスターン州の壮麗な宮殿や城も人気の観光スポットです。自然愛好家には、ケーララ州のバックウォーターやヒマーチャル・プラデーシュ州の山岳地帯、ゴア州の美しいビーチなど、多彩な自然景観が楽しめます。
6.文化
インドの文化は、多様な宗教、言語、伝統が融合した独特のものです。主要な宗教として、ヒンドゥー教(約79.8%)、イスラム教(約14.2%)、キリスト教(約2.3%)、シク教(約1.7%)が信仰されています(2011年国勢調査)。音楽、舞踊、文学、映画などの芸術分野でも豊かな伝統があり、特に映画産業は「ボリウッド」として知られ、世界最大の映画制作国となっています。また、インド料理は多彩なスパイスと地域ごとの特色があり、世界中で親しまれています。
7.スポーツ
クリケットはインドで最も人気のあるスポーツであり、国内外で多くのファンを持っています。また、フィールドホッケーも伝統的に強く、オリンピックでの活躍が知られています。近年では、サッカーやバドミントン、テニスなども人気が高まっており、国内リーグや国際大会での活躍が注目されています。
8.日本との関係
日本とインドは、1952年の国交樹立以来、経済協力や安全保障の分野で緊密な関係を築いてきました。
■経済協力
■貿易と投資
日本とインドは、2011年8月1日に「日本・インド包括的経済連携協定(CEPA)」を発効させ、貿易および投資の自由化・円滑化、知的財産の保護、競争政策の調和、ビジネス環境整備など、多岐にわたる経済関係の強化を図っています。 この協定により、両国間の関税が削減され、貿易額の増加や投資の活性化が期待されています。
具体的には、2000年4月から2023年9月までの日本からインドへの対内直接投資額は累計約2兆5,332億ルピー(約4兆5,598億円)に上り、日本はインドにとって5番目に大きな投資国となっています。
また、日本はインドのインフラ整備や製造業の発展、人材育成など多方面で支援を行っており、特に政府開発援助(ODA)を通じて、1976年から2023年までに累計約4兆4,000億ルピー以上の援助を実施しています。
■インフラ整備
日本はインドのインフラ整備にも積極的に関与しています。例えば、インド初の高速鉄道プロジェクトであるムンバイ~アーメダバード間の建設には、日本の新幹線技術と資金が導入されています。このプロジェクトは、インドの鉄道輸送の近代化と経済発展に寄与すると期待されています。
■安全保障
■防衛協力
日本とインドは、2008年に「安全保障協力に関する共同宣言」を署名し、防衛分野での協力を深化させてきました。 その後、2015年12月には「防衛装備品および技術移転に関する協定」を締結し、防衛装備品や技術の移転に関する法的枠組みを整備しました。 さらに、2019年にはインド陸空軍と自衛隊による合同演習が実施され、両国の防衛協力は着実に進展しています。
■海洋安全保障
インド太平洋地域の安定に向けて、海洋安全保障分野での協力も強化されています。インドは、日本にとってエネルギー輸送の要であるシーレーンの中央に位置し、戦略的に重要な国です。 両国は、海上自衛隊とインド海軍の共同訓練や情報共有を通じて、海洋における安全保障体制を強化しています。
■多国間協力
日本とインドは、アメリカやオーストラリアとともに「クアッド(Quad)」と呼ばれる安全保障対話を通じて、地域の平和と安定に向けた協力を推進しています。この枠組みでは、海洋安全保障、サイバーセキュリティ、災害対策など、多岐にわたる分野での連携が進められています。
総じて、日本とインドは経済協力と安全保障の両面で強固なパートナーシップを築いており、これらの協力関係はインド太平洋地域の平和と繁栄に大きく寄与しています。