「 ただ一度にいらへむも、 待ちけるかともぞ思ふ」の現代語訳・口語訳・意味
原文
この児、
定めて驚かさむずらむと待ちゐたるに、僧の、「
もの申しさぶらはむ。
驚かせたまへ。」と言ふを、
うれしとは思へども、
ただ一度に
いらへむも、 待ちけるかともぞ思ふとて、今一声
呼ばれていらへむと、
念じて寝たるほどに、
現代語訳・口語訳・意味
この子どもは、きっと(僧たちが自分を)起こすだろうと(思って)待ち続けていたところ、僧が「もしもし。目をお覚まし下さい。」と言うのを、嬉しいとは思うのですが、
すぐ一度で返事をするのも、(僧たちが、呼ばれるのを)待っていたと思う(のも困る)ので、もう一度呼ばれて返事をしようと(思って)、我慢して寝ているうちに...
品詞分解
| ただ | 副詞 |
| 一度 | 名詞 |
| に | 格助詞 |
| いらへ | ハ行下二段活用「いらふ」の未然形 |
| む | 婉曲・仮定の助動詞「む」の連体形 |
| も、 | 係助詞 |
| 待ち | タ行四段活用「まつ」の連用形 |
| ける | 過去の助動詞「けり」の連体形 |
| か | 係助詞 |
| と | 格助詞 |
| も | 係助詞 |
| ぞ | 係助詞 |
| 思ふ | ハ行四段活用「おもふ」の連体形 |
主な出典
【宇治拾遺物語「児のそら寝」】
この児、定めて驚かさむずらむと待ちゐたるに、僧の、「もの申しさぶらはむ。 驚かせたまへ。」と言ふを、うれしとは思へども、ただ一度にいらへむも、 待ちけるかともぞ思ふとて、今一声呼ばれていらへむと、念じて寝たるほどに...