和泉式部日記『薫る香に』
このテキストでは、
和泉式部日記の一節『
薫る香に』の「
夢よりもはかなき世の中を〜」から始まる部分の品詞分解を記しています。
和泉式部日記とは
和泉式部日記は、平安時代を代表する歌人
和泉式部(いずみしきぶ)によって書かれた女流日記文学です。
品詞分解
※名詞は省略しています。
■夢よりもはかなき世の中を嘆きわびつつ明かし暮らすほどに、四月十余日にもなりぬれば、木の下暗がりもてゆく。
夢 | ー |
より | 格助詞 |
も | 係助詞 |
はかなき | 形容詞・ク活用・連体形 |
世の中 | ー |
を、 | 格助詞 |
嘆きわび | バ行上二段活用・連用形 |
つつ | 接続助詞 |
明かし暮らす | サ行四段活用・連体形 |
ほど | ー |
に、 | 格助詞 |
四月十余日 | ー |
に | 格助詞 |
も | 係助詞 |
なり | ラ行四段活用・連用形 |
ぬれ | 完了の助動詞・已然形 |
ば、 | 接続助詞 |
木の下 | ー |
暗がり | ラ行四段活用・連用形 |
もてゆく。 | カ行四段活用・終止形 |
■築地の上の草青やかなるも、人はことに目もとどめぬを、あはれとながむるほどに、近き透垣のもとに人のけはひのすれば、誰ならむと思ふほどに、故宮に候ひし小舎人童なりけり。
築地 | ー |
の | 格助詞 |
上 | ー |
の | 格助詞 |
草 | ー |
青やかなる | 形容動詞・ナリ活用・連体形 |
も、 | 係助詞 |
人 | ー |
は | 係助詞 |
ことに | 副詞 |
目 | ー |
も | 係助詞 |
とどめ | マ行下二段活用・未然形 |
ぬ | 打消の助動詞・連体形 |
を、 | 接続助詞 |
あはれ | 形容動詞・ナリ活用の語幹 |
と | 格助詞 |
ながむる | マ行下二段活用・連体形 |
ほど | ー |
に、 | 格助詞 |
近き | 形容詞・ク活用・連体形 |
透垣 | ー |
の | 格助詞 |
もと | ー |
に | 格助詞 |
人 | ー |
の | 格助詞 |
けはひ | ー |
すれ | サ行変格活用・已然形 |
ば、 | 接続助詞 |
誰 | ー |
なら | 断定の助動詞・未然形 |
む | 推量の助動詞・連体形 |
と | 格助詞 |
思ふ | ハ行四段活用・連体形 |
ほど | ー |
に、 | 格助詞 |
故宮 | ー |
に | 格助詞 |
候ひ | ハ行四段活用・連用形 |
し | 過去の助動詞・連体形 |
小舎人童 | ー |
なり | 断定の助動詞・連用形 |
けり。 | 詠嘆の助動詞・終止形 |
■あはれにもののおぼゆるほどに来たれば、「などか久しう見えざりつる。遠ざかる昔の名残にも思ふを。」など言はすれば、
あはれに | 形容動詞・ナリ活用・連用形 |
もの | ー |
の | 格助詞 |
おぼゆる | ヤ行下二段活用・連体形 |
ほど | ー |
に | 格助詞 |
来 | カ行変格活用・連用形 |
たれ | 完了の助動詞・已然形 |
ば、 | 接続助詞 |
「などか | 副詞 |
久しく | 形容詞・シク活用・連用形 |
見え | ヤ行下二段活用・未然形 |
ざり | 打消の助動詞・連用形 |
つる。 | 完了の助動詞・連体形 |
遠ざかる | カ行四段活用・連体形 |
昔 | ー |
の | 格助詞 |
名残 | ー |
に | 格助詞 |
も | 係助詞 |
思ふ | ハ行四段活用・連体形 |
を。」 | 間投助詞 |
など | 副助詞 |
言は | ハ行四段活用・未然形 |
すれ | 使役の助動詞・已然形 |
ば、 | 接続助詞 |
■「そのことと候はでは、なれなれしきさまにやと、つつましう候ふうちに、日ごろは山寺にまかりありきてなむ。
「そ | 代名詞 |
の | 格助詞 |
こと | ー |
と | 格助詞 |
候は | ハ行四段活用・未然形 |
で | 接続助詞 |
は、 | 係助詞 |
なれなれしき | 形容詞・シク活用・連体形 |
さま | ー |
に | 断定の助動詞・連用形 |
や | 係助詞 |
と、 | 格助詞 |
つつましう | 形容詞・シク活用・連用形のウ音便 |
候ふ | 補助動詞・ハ行四段活用・連体形 |
うち | ー |
に、 | 格助詞 |
日ごろ | ー |
は | 係助詞 |
山寺 | ー |
に | 格助詞 |
まかりありき | カ行四段活用・連用形 |
て | 接続助詞 |
なむ。 | 係助詞 |
■いと頼りなく、つれづれに思ひたまうらるれば、御代はりにも見たてまつらむとてなむ、帥宮に参りて候ふ。」と語る。
いと | 副詞 |
頼り | ー |
なく、 | 形容詞・ク活用・連用形 |
つれづれに | ナリ活用の形容動詞「つれづれなり」の連用形 |
思ひ | ハ行四段活用・連用形 |
たまう | 補助動詞・ハ行下二段活用・連用形のウ音便 |
らるれ | 自発の助動詞・已然形 |
ば、 | 接続助詞 |
御代はり | ー |
に | 格助詞 |
も | 係助詞 |
見 | マ行上一段活用・連用形 |
奉ら | 補助動詞・ラ行四段活用・未然形 |
む | 意志の助動詞・終止形 |
とて | 格助詞 |
なむ、 | 係助詞 |
帥宮 | ー |
に | 格助詞 |
参り | ラ行四段活用・連用形 |
て | 接続助詞 |
候ふ。」 | ハ行四段活用・連体形 |
と | 格助詞 |
語る。 | ラ行四段活用・終止形 |
【「つれづれなり」の意味は?】