「いかに/如何に/奈何に」の意味・活用・使用例
このテキストでは、古文単語「
いかに/如何に/奈何に」の意味、活用、解説とその使用例を記している。
「いかに」には、
①形容動詞の連用形
②副詞
③感動詞
としての用法がある。
①形容動詞の連用形の用法
■意味
どのように、どんなふうに。
※この用法は、形容動詞「いかなり」の連用形「いかに」からできたものである。
[出典]:
二月つごもりごろに 枕草子
「...わななくわななく書きてとらせて、
いかに思ふらむとわびし。」
[訳]:...震え震えながら書いて(主殿寮の人に)渡したのですが、(向こうの方々が)
どのように思っているのだろうかと(考えると、)心細く感じます。
②副詞
■意味1
どうして、なぜ。
[出典]:
門出・東路の道の果て 更級日記
「東路の道の果てよりも、なほ奥つ方に生ひ出でたる人、いかばかりかはあやしかりけむを、
いかに思ひ始めけることにか...」
[訳]:京都から東国へ向かう道の最果てよりも、さらに奥の方で育った人(である私)は、(今思うと)どれほどまあ(田舎っぽくて)見苦しかっただろうに、
どうして(そのようなことを)思い始めたのか...
■意味2
(いかに〜推量の形で)
どんなにか〜だろう、さぞかし〜だろう。
[出典]:和泉式部日記
「このごろの山の紅葉はいかにをかしからむ。」
[訳]:最近の山の紅葉はどんなにか風情があることでしょう。
■意味3
(いかに〜断定・感動の形で)
なんとまあ、いやはや。
[出典]:若紫 源氏物語
「今思へば、いかにかどある事なりけり。」
[訳]:今となって思えば、なんとまあ知恵のあるやり方であったことよ。
■意味4
(いかに〜逆説仮定の形で)
いくら〜でも。
[出典]:
能登殿最期 平家物語
「
いかに猛うましますとも、われら三人取りついたらんに、たとひたけ十丈の鬼なりとも、などか従へざるべき。」
[訳]:
いくら強くていらっしゃった
としても、我ら3人がとびついたなら、例え身長が10丈の鬼であっても、どうして取り押さえることができないでいようか、いやできる。
③感動詞
■意味
(人に呼びかける語で)
おい。
[出典]:徳大寺厳島詣 平家物語
「いかに、内侍どもは何事の列参ぞ。」
[訳]:おい、内侍たちは何用でそろって参上したのか。