はじめに
このテキストでは、
宇治拾遺物語の一節『
尼、地蔵を見奉ること』の「尼は、地蔵見参らせんとていたれば、親どもは、心得ず」から始まる部分のの品詞分解を記しています。
※前回のテキスト:
『尼、地蔵を見奉ること』(今は昔、丹後国に老尼ありけり〜)の品詞分解
※現代語訳:
宇治拾遺物語『尼、地蔵を見奉ること』わかりやすい現代語訳と解説
※宇治拾遺物語は13世紀前半ごろに成立した説話物語集です。編者は未詳です。
品詞分解
※名詞は省略しています。
■尼は、地蔵見参らせんとていたれば、親どもは、心得ず、などこの童を見むと思ふらんと思ふ程に、
尼 | ー |
は、 | 係助詞 |
地蔵 | ー |
見 | マ行上一段活用・連用形 |
参らせ | 謙譲の補助動詞・サ行下二段活用・未然形 |
ん | 意志の助動詞・終止形 |
とて | 格助詞 |
い | ワ行上一段活用・連用形 |
たれ | 存続の助動詞・已然形 |
ば、 | 接続助詞 |
親 | ー |
ども | 接尾語 |
は、 | 係助詞 |
心得 | ア行下二段活用・未然形 |
ず、 | 打消の助動詞・連用形 |
など | 副詞 |
こ | 代名詞 |
の | 格助詞 |
童 | ー |
を | 格助詞 |
見 | マ行上一段活用・未然形 |
む | 意志の助動詞・終止形 |
と | 格助詞 |
思ふ | ハ行四段活用・終止形 |
らむ | 現在の原因推量の助動詞・連体形 |
と | 格助詞 |
思ふ | ハ行四段活用・連体形 |
程 | ー |
に、 | 格助詞 |
■十ばかりなる童の来るを、「くは、地蔵。」といへば、尼、見るままに是非も知らず、臥しまろびて、拝み入りて、土にうつぶしたり。
十 | ー |
ばかり | 副助詞 |
なる | 断定の助動詞・連体形 |
童 | ー |
の | 格助詞 |
来 | カ行変格活用・連用形 |
たる | 完了の助動詞・連体形 |
を、 | 格助詞 |
「くは、 | 感動詞 |
地蔵。」 | ー |
と | 格助詞 |
言へ | ハ行四段活用・已然形 |
ば、 | 接続助詞 |
尼、 | ー |
見る | マ行上一段活用・連体形 |
ままに | 連語:名詞「まま」+格助詞「に」 |
是非 | ー |
も | 係助詞 |
知ら | ラ行四段活用・未然形 |
ず、 | 打消の助動詞・連用形 |
臥しまろび | バ行四段活用・連用形 |
て、 | 接続助詞 |
おがみ入り | ラ行四段活用・連用形 |
て、 | 接続助詞 |
土 | ー |
に | 格助詞 |
うつぶし | サ行四段活用・連用形 |
たり。 | 完了の助動詞・終止形 |
■童、楚をもてあそびけるままに、来たりけるが、その楚して、手すさびのやうに、額をかけば、額より顔の上まで裂けぬ。
童、 | ー |
楚 | ー |
を | 格助詞 |
持ち | タ行四段活用・連用形 |
て | 接続助詞 |
あそび | バ行四段活用・連用形 |
ける | 過去の助動詞・連体形 |
まま | ー |
に、 | 格助詞 |
来 | カ行変格活用・連用形 |
たり | 完了の助動詞・連用形 |
ける | 過去の助動詞・連体形 |
が、 | 接続助詞 |
そ | 代名詞 |
の | 格助詞 |
楚 | ー |
して、 | 格助詞 |
手すさみ | ー |
の | 格助詞 |
やうに | 比況の助動詞・連用形 |
額 | ー |
を | 格助詞 |
かけ | カ行四段活用・已然形 |
ば、 | 接続助詞 |
額 | ー |
より | 格助詞 |
顔 | ー |
の | 格助詞 |
上 | ー |
まで | 副助詞 |
さけ | カ行下二段活用・連用形 |
ぬ。 | 完了の助動詞・終止形 |
■さけたる中より、えもいはずめでたき地蔵の御顏見え給ふ。尼、拝み入りて、うち見あげたれば、かくてたち給へれば、涙を流して拝み入り参らせて、やがて極楽へ参りけり。
さけ | カ行下二段活用・連用形 |
たる | 完了の助動詞・連体形 |
中 | ー |
より、 | 格助詞 |
え | 副詞 |
も | 係助詞 |
いは | ハ行四段活用・未然形 |
ず | 打消の助動詞・連用形 |
めでたき | 形容詞・ク活用・連体形 |
地蔵 | ー |
の | 格助詞 |
御顏 | ー |
見え | ヤ行下二段活用・連用形 |
給ふ。 | 尊敬の補助動詞・ハ行四段活用・終止形 |
尼 | ー |
おがみ入り | ラ行四段活用・連用形 |
て、 | 接続助詞 |
うち見上げ | ガ行下二段活用・連用形 |
たれ | 完了の助動詞・已然形 |
ば、 | 接続助詞 |
かく | 副詞 |
て | 接続助詞 |
たち | タ行四段活用・連用形 |
給へ | 尊敬の補助動詞・ハ行四段活用・已然形 |
れ | 存続の助動詞・已然形 |
ば、 | 接続助詞 |
涙 | ー |
を | 格助詞 |
ながし | サ行四段活用・連用形 |
て | 接続助詞 |
おがみ入り | ラ行四段活用・連用形 |
参らせ | 謙譲の補助動詞・サ行下二段活用・連用形 |
て、 | 接続助詞 |
やがて | 副詞 |
極楽 | ー |
へ | 格助詞 |
参り | ラ行四段活用・連用形 |
に | 完了の助動詞・連用形 |
けり。 | 過去の助動詞・終止形 |
■されば心にだにも深く念じつれば、仏も見え給ふなりけると信ずべし。
されば、 | 接続詞 |
心 | ー |
に | 格助詞 |
だに | 副助詞 |
も | 係助詞 |
ふかく | 形容詞・ク活用・連用形 |
念じ | サ行変格活用・連用形 |
つれ | 強意の助動詞・已然形 |
ば、 | 接続助詞 |
仏 | ー |
も | 係助詞 |
見え | ヤ行下二段活用・連用形 |
給ふ | 尊敬の補助動詞・ハ行四段活用・連体形 |
なり | 断定の助動詞・連用形 |
ける | 詠嘆の助動詞・連体形 |
と | 格助詞 |
信ず | サ行変格活用・終止形 |
べし。 | 当然の助動詞・終止形 |
※現代語訳:
宇治拾遺物語『尼、地蔵を見奉ること』わかりやすい現代語訳と解説