|
|
|
更新日時:
|
|
![]() |
伊勢物語『東下り・すみだ河』(なほ行き行きて、武蔵の国と〜)のわかりやすい現代語訳と解説 |
著作名:
走るメロス
489,490 views |
伊勢物語『東下り(すみだ河編)』の原文・現代語訳と解説
このテキストでは伊勢物語の9段「東下り・隅田川」の「なほ行き行きて、武蔵の国と下総の国との中に〜」から始まる部分の原文、現代語訳・口語訳とその解説を記しています。
※参照:伊勢物語『東下り(三河国編)』(昔、男ありけり。その男〜)の現代語訳
※参照:伊勢物語『東下り(駿河編)』(行き行きて、駿河の国にいたりぬ〜)の現代語訳
伊勢物語とは
伊勢物語は平安時代初期に書かれた歌物語です。作者は未詳ですが、在原業平がモデルではないかと言われています。
原文(本文)
なほ行き行きて、武蔵の国と下総の国との中に、いと大きなる河あり。それをすみだ河といふ。
その河のほとりに(※1)むれゐて、思ひやれば(※2)かぎりなく遠くも来にけるかなと、わびあへるに、渡守、
「はや舟に乗れ。日も暮れぬ。」
といふに、乗りて渡らむとするに、皆人(※3)ものわびしくて、京に、思ふ人なきにしもあらず。さるをりしも、白き鳥の、嘴と脚と赤き、鴫の大きさなる、水の上に遊びつつ魚を食ふ。京には見えぬ鳥なれば、皆人見知らず。
(※4)渡守に問ひければ、
「これなむ都鳥」
といふを聞きて、
とよめりければ、舟こぞりて泣きにけり。
現代語訳(口語訳)
さらに進んで行くと、武蔵の国と下総の国の間に、たいそう大きな川があります。それを隅田川と言います。その川のほとりで群がり座って、(都へと)はるかに思いをはせると、果てしなく遠くまできたものだなあと、(皆で)一緒に気弱になっているところ、川の渡し舟の船頭が、
「はやく船に乗れ。日も暮れてしまう。」
と言うので、(船に)乗って渡ろうとするのですが、皆なんとなく悲しくて、都に恋しく思う人がないわけではないのです。そんな折も折、白い鳥で、くちばしと脚が赤い、鴨ぐらいの大きさであるのが、水面を気ままに動きまわりながら魚を食べています。都では目にしない鳥なので、皆(この鳥のことを)知りません。船頭に尋ねてみると
「これは都鳥だ。」
と言うのを聞いて、(男が)
と詠んだので、船に乗っている人は一人残らず泣いてしまいました。
■次ページ:品詞分解・単語とテストに出題されそうな問題
1ページ
|
前ページ
|
1/2 |
次ページ |
このテキストを評価してください。
役に立った
|
う~ん・・・
|
※テキストの内容に関しては、ご自身の責任のもとご判断頂きますようお願い致します。 |
|
伊勢物語『東下り・駿河国』(行き行きて、駿河の国に〜)のわかりやすい現代語訳と解説
>
百人一首『これやこの行くも帰るも別れては知るも知らぬも逢坂の関』現代語訳と解説(掛詞など)
>
枕草子『二月つごもりごろに』のわかりやすい現代語訳と解説
>
源氏物語 桐壺 その21 源氏、左大臣家の娘(葵上)と結婚
>
大鏡『最後の除目・兼通と兼家の不和(堀河殿、果ては〜)』のわかりやすい現代語訳・和訳と解説
>
土佐日記『阿倍仲麻呂・阿部仲麻呂の歌』(十九日。日あしければ船いださず〜)わかりやすい現代語訳と解説
>
注目テキスト