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百人一首『忘らるる身をば思はず誓ひてし人の命の惜しくもあるかな』現代語訳と解説(句切れなど)
著作名: 走るメロス
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百人一首(38)右近/歌の意味と読み、現代語訳、単語、品詞分解


忘らるる 身をば思はず 誓ひてし 人の命の 惜しくもあるかな


このテキストでは、百人一首に収録されている歌「忘らるる身をば思はず誓ひてし人の命の惜しくもあるかな」のわかりやすい現代語訳・口語訳と解説(係り結び・歌枕・句切れなど)、そして品詞分解を記しています。この歌は、百人一首の他に、拾遺和歌集にも収録されています。



百人一首とは

百人一首は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活動した公家・藤原定家が選んだ和歌集です。100人の歌人の和歌を、1人につき1首ずつ選んで作られています。


原文

忘らるる 身をば思はず (※1)誓ひてし 人の命の 惜しくもあるかな


ひらがなでの読み方

わすらるる みをばおもはず ちかひてし ひとのいのちの をしくもあるかな



現代語訳

忘れ去られる私自身のことは何とも思いません。(神の前で愛を)誓ったあなたの命が(神の怒りに触れて失われるのではないかと思うと)惜しまれるのです。


解説・鑑賞のしかた

この歌の詠み手は、右近(うこん)です。平安時代の女流歌人で、醍醐天皇の中宮穏子に仕えた女房です。

大和物語の84段にも同様の和歌が見られます。「男女が変わらぬ愛を神に誓ったのに、男は女のことを忘れてしまった。その後に女が言い送った歌」とされています。

「女が、自身のことは顧みず本当に男のことを心配している」と解釈するのか、それとも、「"神への誓いを破ったあなたはどうなるかしら。"と女が皮肉をこめて詠んだ歌」と解釈するのかで歌の印象が大きく変わってきます。


主な技法・単語・文法解説

単語

(※1)誓ひ神仏にかけて固く約束するの意。ハ行四段活用「ちかふ」の連用形。


句切れ

二句切れ

品詞分解

※名詞は省略しています。



忘らラ行四段活用「わする」の未然形
るる受身の助動詞「る」の連体形
格助詞
係助詞
思はハ行四段活用「おもふ」の未然形
打消の助動詞「ず」の終止形
誓ひハ行四段活用「ちかふ」の連用形
完了の助動詞「つ」の連用形
過去の助動詞「き」の連体形
格助詞
格助詞
惜しくシク活用の形容詞「をし」の連用形
係助詞
あるラ行変格活用「あり」の連体形(補助動詞)
かな終助詞



著者情報:走るメロスはこんな人

学生時代より古典の魅力に取り憑かれ、社会人になった今でも休日には古典を読み漁ける古典好き。特に1000年以上前の文化や風俗をうかがい知ることができる平安時代文学がお気に入り。作成したテキストの総ページビュー数は1,6億回を超える。好きなフレーズは「頃は二月(にうゎんがつ)」や「月日は百代の過客(くゎかく)にして」といった癖のあるやつ。早稲田大学卒業。

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