見知る/みしる
このテキストでは、ラ行四段活用の動詞「
見知る/みしる」の意味、活用、解説とその使用例を記している。
ラ行四段活用
未然形 | みしら |
連用形 | みしり |
終止形 | みしる |
連体形 | みしる |
已然形 | みしれ |
命令形 | みしれ |
■意味1:他動詞
見て知っている、わかる。
[出典]:
東下り 伊勢物語
「京には見えぬ鳥なれば、皆人
見知らず。」
[訳]:都では目にしない鳥なので、一行は皆(この鳥のことを)
知りません。
■意味2:他動詞
顔見知りである、面識がある。
[出典]:
猫また 徒然草
「家々より、松どもともして走り寄りて見れば、このわたりに
見知れる僧なり。」
[訳]:(近くの)家々から、(人々が)たいまつに火をつけて走り寄って見ると、このあたりで
顔見知りである僧です。
■意味3:他動詞
見て理解する。
[出典]:末摘花 源氏物語
「いみじうなまめきて、みしらむ人にこそ見せめ。」
[訳]:たいそう上品であって、(物の美しさを)理解できそうな人にこそ見せたいものです。
■意味4:他動詞
気づく。
[出典]:
にくきもの 枕草子
「忍びて来る人、
見知りてほゆる犬。」
[訳]:人目につかないように(夜に女性の家に遊びにやって)きた人に、
気づいてほえる犬。
■意味5:他動詞
経験がある。
[出典]:賢木 源氏物語
「見知りたまはぬ世の憂さに、立ちたまふべくもおぼされず。」
[訳]:ご経験のない世の中の辛さなので、人と立ち交じろうともお考えになりません