■この児、定めて驚かさむずらむと待ちゐたるに、僧の、「もの申しさぶらはむ。 驚かせたまへ。」と言ふを、うれしとは思へども、
| こ | 代名詞 |
| の | 格助詞 |
| 児、 | ー |
| 定めて | 副詞 |
| 驚かさ | サ行四段活用「おどろかす」の未然形 |
| むず | 推量の助動詞「むず」の終止形 |
| らむ | 現在推量の助動詞「らむ」の終止形 |
| と | 格助詞 |
| 待ちゐ | ワ行上一段活用「まちゐる」の連用形 |
| たる | 存続の助動詞「たり」の連体形 |
| に、 | 接続助詞 |
| 僧 | ー |
| の、 | 格助詞 |
| 「もの申し | サ行四段活用「ものまうす」の連用形 |
| さぶらは | 丁寧の補助動詞・ハ行四段活用「さぶらふ」の未然形 |
| む。 | 意志の助動詞「む」の終止形 |
| 驚か | カ行四段活用「おどろく」の未然形 |
| せ | 尊敬の助動詞「す」の連用形 |
| たまへ。」 | 尊敬の補助動詞・ハ行四段活用「たまふ」の命令形 |
| と | 格助詞 |
| 言ふ | ハ行四段活用「いふ」の連体形 |
| を、 | 格助詞 |
| うれし | 形容詞・シク活用「うれし」の終止形 |
| と | 格助詞 |
| は | 係助詞 |
| 思へ | ハ行四段活用「おもふ」の已然形 |
| ども、 | 接続助詞 |
■ただ一度にいらへむも、 待ちけるかともぞ思ふとて、今一声呼ばれていらへむと、念じて寝たるほどに、
| ただ | 副詞 |
| 一度 | ー |
| に | 格助詞 |
| いらへ | ハ行下二段活用「いらふ」の未然形 |
| む | 婉曲・仮定の助動詞「む」の連体形 |
| も、 | 係助詞 |
| 待ち | タ行四段活用「まつ」の連用形 |
| ける | 過去の助動詞「けり」の連体形 |
| か | 係助詞 |
| と | 格助詞 |
| も | 係助詞 |
| ぞ | 係助詞 |
| 思ふ | ハ行四段活用「おもふ」の連体形 |
| とて、 | 格助詞、または格助詞「と」+接続助詞「て」 |
| 今 | 副詞 |
| 一声 | ー |
| 呼ば | バ行四段活用「よぶ」の未然形 |
| れ | 受身の助動詞「る」の連用形 |
| て | 接続助詞 |
| いらへ | ハ行下二段活用「いらふ」の未然形 |
| む | 意志の助動詞「む」終止形 |
| と、 | 格助詞 |
| 念じ | サ行変格活用「ねんず」の連用形 |
| て | 接続助詞 |
| 寝 | ナ行下二段活用「ぬ」の連用形 |
| たる | 存続の助動詞「たり」の連体形 |
| ほど | ー |
| に、 | 格助詞 |
■「や、な起こしたてまつりそ。幼き人は寝入りたまひにけり。」と言ふ声のしければ、あなわびしと思ひて、今一度起こせかしと、思ひ寝に聞けば、
| 「や、 | 感動詞 |
| な | 副詞 |
| 起こし | サ行四段活用「おこす」の連用形 |
| たてまつり | 謙譲の補助動詞・ラ行四段活用「たてまつる」の連用形 |
| そ。 | 終助詞 |
| 幼き | 形容詞・ク活用「をさなし」の連体形 |
| 人 | ー |
| は | 係助詞 |
| 寝入り | ラ行四段活用「ねいる」の連用形 |
| たまひ | 尊敬の補助動詞・ハ行四段活用「たまふ」の連用形 |
| に | 完了の助動詞「ぬ」連用形 |
| けり。」 | 過去の助動詞「けり」の終止形 |
| と | 格助詞 |
| 言ふ | ハ行四段活用「いふ」の連体形 |
| 声 | ー |
| の | 格助詞 |
| し | サ行変格活用「す」の連用形 |
| けれ | 過去の助動詞「けり」の已然形 |
| ば、 | 接続助詞 |
| あな | 感動詞 |
| わびし | 形容詞・シク活用「わびし」の終止形 |
| と | 格助詞 |
| 思ひ | ハ行四段活用「おもふ」の連用形 |
| て、 | 接続助詞 |
| 今 | 副詞 |
| 一度 | ー |
| 起こせ | サ行四段活用「おこす」の命令形 |
| かし | 終助詞 |
| と、 | 格助詞 |
| 思ひ寝 | ー |
| に | 格助詞 |
| 聞け | カ行四段活用「きく」の已然形 |
| ば、 | 接続助詞 |
■ ひしひしとただ食ひに食ふ音のしければ、ずちなくて、無期ののちに、「えい。」といらへたりければ、僧たち笑ふことかぎりなし。
| ひしひしと | 副詞 |
| ただ | 副詞 |
| 食ひ | ハ行四段活用「くふ」の連用形 |
| に | 格助詞 |
| 食ふ | ハ行四段活用「くふ」の連体形 |
| 音 | ー |
| の | 格助詞 |
| し | サ行変格活用「す」の連用形 |
| けれ | 過去の助動詞「けり」の已然形 |
| ば、 | 接続助詞 |
| ずちなく | 形容詞・ク活用「ずちなし」の連用形 |
| て、 | 接続助詞 |
| 無期 | 形容動詞・ナリ活用「むごなり」の語幹 |
| の | 格助詞 |
| のち | ー |
| に、 | 格助詞 |
| 「えい。」 | 感動詞 |
| と | 格助詞 |
| いらへ | ハ行下二段活用「いらふ」連用形 |
| たり | 完了の助動詞「たり」の連用形 |
| けれ | 過去の助動詞「けり」の已然形 |
| ば、 | 接続助詞 |
| 僧たち | ー |
| 笑ふ | ハ行四段活用「わらふ」の連体形 |
| こと | ー |
| かぎりなし。 | 形容詞・ク活用「かぎりなし」の終止形 |
現代語訳
宇治拾遺物語『児のそら寝』わかりやすい現代語訳と解説
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著者情報:走るメロスはこんな人
学生時代より古典の魅力に取り憑かれ、社会人になった今でも休日には古典を読み漁ける古典好き。特に1000年以上前の文化や風俗をうかがい知ることができる平安時代文学がお気に入り。作成したテキストの総ページビュー数は1,6億回を超える。好きなフレーズは「頃は二月(にうゎんがつ)」や「月日は百代の過客(くゎかく)にして」といった癖のあるやつ。早稲田大学卒業。