宇治拾遺物語『袴垂、保昌に会ふこと』の品詞分解
このテキストでは、
宇治拾遺物語の一節『
袴垂、保昌に会ふこと』(昔、袴垂とて、いみじき盗人の大将軍ありけり〜)の品詞分解を記しています。書籍によっては、「袴垂と保昌 」、「袴垂、保昌に合ふ事」と題されているものもあるようです。
※現代語訳:
『袴垂、保昌に会ふこと』の現代語訳と解説
宇治拾遺物語とは
宇治拾遺物語は13世紀前半ごろに成立した説話物語集です。編者は未詳です。
品詞分解
※名詞は省略しています。
■昔、袴垂とて、いみじき盗人の大将軍ありけり。十月ばかりに、衣の用なりければ、衣少しまうけむとて、さるべき所々、うかがひありきけるに、
昔、 | ー |
袴垂 | ー |
とて、 | 格助詞 |
いみじき | 形容詞・シク活用・連体形 |
盗人 | ー |
の | 格助詞 |
大将軍 | ー |
あり | ラ行変格活用・連用形 |
けり。 | 過去の助動詞・終止形 |
十月 | ー |
ばかり | 副助詞 |
に、 | 格助詞 |
衣 | ー |
の | 格助詞 |
用 | ー |
なり | 断定の助動詞・連用形 |
けれ | 過去の助動詞・已然形 |
ば、 | 接続助詞 |
衣 | ー |
少し | 副詞 |
まうけ | カ行下二段活用・未然形 |
む | 意志の助動詞・終止形 |
とて、 | 格助詞 |
さる | 連体詞 |
べき | 当然の助動詞・連体形 |
所々、 | ー |
うかがひありき | カ行四段活用・連用形 |
ける | 過去の助動詞・連体形 |
に、 | 接続助詞 |
■夜中ばかりに、人、みな静まり果てて後、月の朧なるに、衣、あまた着たりける主の、指貫のそば挟みて、絹の狩衣めきたる着て、ただ一人、笛吹きて、行きもやらず、練り行けば、
夜中 | ー |
ばかり | 副助詞 |
に、 | 格助詞 |
人、 | ー |
みな | ー |
静まり果て | タ行下二段活用・連用形 |
て | 接続助詞 |
後、 | ー |
月 | ー |
の | 格助詞 |
朧なる | 形容動詞・ナリ活用・連体形 |
に、 | 格助詞 |
衣、 | ー |
あまた | 副詞 |
着 | カ行上一段活用・連用形 |
たり | 存続の助動詞・連用形 |
ける | 過去の助動詞・連体形 |
主 | ー |
の、 | 格助詞 |
指貫 | ー |
の | 格助詞 |
そば | ー |
挟み | マ行四段活用・連用形 |
て、 | 接続助詞 |
絹 | ー |
の | 格助詞 |
狩衣めき | カ行四段活用・連用形 |
たる | 存続の助動詞・連体形 |
着 | カ行上一段活用・連用形 |
て、 | 接続助詞 |
ただ | 副詞 |
一人、 | ー |
笛 | ー |
吹き | カ行四段活用・連用形 |
て、 | 接続助詞 |
行き | カ行四段活用・連用形 |
も | 係助詞 |
やら | 補助動詞・ラ行四段活用・未然形 |
ず、 | 打消の助動詞・連用形 |
練り行け | カ行四段活用・已然形 |
ば、 | 接続助詞 |
■「あはれ、これこそ、我に絹得させむとて、出でたる人なめり。」と思ひて走りかかりて、衣をはがむと思ふに、
「あはれ、 | 感動詞 |
これ | 代名詞 |
こそ、 | 係助詞 |
我 | 代名詞 |
に | 格助詞 |
絹 | ー |
得 | ア行下二段活用・未然形 |
させ | 使役の助動詞・未然形 |
む | 意志の助動詞・終止形 |
とて、 | 格助詞 |
出で | ダ行下二段活用・連用形 |
たる | 完了の助動詞・連体形 |
人 | ー |
な | 断定の助動詞・連体形の撥音便の無表記 |
めり。」 | 推定の助動詞・終止形 |
と | 格助詞 |
思ひ | ハ行四段活用・連用形 |
て | 接続助詞 |
走りかかり | ラ行四段活用・連用形 |
て、 | 接続助詞 |
衣 | ー |
を | 格助詞 |
はが | ガ行四段活用・未然形 |
む | 意志の助動詞・終止形 |
と | 格助詞 |
思ふ | ハ行四段活用・連体形 |
に、 | 接続助詞 |