「そらにいかでかおぼえ語らむ」の現代語訳・口語訳・意味・品詞分解
原文
姉、継母などやうの人々の、その物語、かの物語、光源氏のあるやうなど、
ところどころ語るを聞くに、
いとどゆかしさまされど、わが思ふままに、
そらにいかでかおぼえ語らむ。
現代語訳・口語訳・意味
姉や継母などのような人々が、その物語、あの物語、光源氏の様子などについて、あれこれ話すのを聞いていると、
ますます読みたいという思いがつのるのだが、私が望むように、(姉や継母が物語を)
何も見ないでどうして思い出して話してくれようか、いや、してくれない。
品詞分解
| そらに | ナリ活用の形容動詞「そらなり」の連用形 |
| いかで | 副詞 |
| か | 係助詞 |
| おぼえ語ら | ラ行四段活用「おぼえかたる」の未然形 |
| む。 | 推量の助動詞「む」の連体形 |
主な出典
【更級日記「門出・あこがれ」】
東路の道の果てよりも、なほ奥つ方に生ひ出でたる人、いかばかりかはあやしかりけむを、いかに思ひ始めけることにか、世の中に物語といふもののあんなるを、いかで見ばやと思ひつつ、つれづれなる昼間、よひゐなどに、姉、継母などやうの人々の、その物語、かの物語、光源氏のあるやうなど、ところどころ語るを聞くに、いとどゆかしさまされど、わが思ふままに、そらにいかでかおぼえ語らむ。