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9_80 文章の読み解き / 文章の読み解き

百人一首94『み吉野の山の秋風さ夜ふけてふるさと寒く衣うつなり』現代語訳と解説(歌枕・本歌取りなど)

著者名: 走るメロス
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百人一首(94)参議雅経/歌の意味と読み、現代語訳、単語、品詞分解、覚え方

み吉野の 山の秋風 さ夜ふけて ふるさと寒く 衣うつなり


このテキストでは、百人一首に収録されている歌「み吉野の山の秋風さ夜ふけてふるさと寒く衣うつなり」のわかりやすい現代語訳・口語訳と解説(歌枕、本歌取り、句切れの有無など)、歌が詠まれた背景や意味、そして品詞分解を記しています。この歌は、百人一首の他に、新古今和歌集にも収録されています。




百人一首とは

百人一首は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活動した公家・藤原定家が選んだ和歌集です。100人の歌人の和歌を、1人につき1首ずつ選んで作られています。百人一首と言われれば一般的にこの和歌集のことを指し、小倉百人一首(おぐらひゃくにんいっしゅ)とも呼ばれます。


暗記に役立つ百人一首一覧

以下のテキストでは、暗記に役立つよう、それぞれの歌に番号、詠み手、ひらがなでの読み方、そして現代語訳・口語訳を記載し、歌番号順に一覧にしています。

暗記に役立つ百人一首一覧


原文

(※1)み吉野の 山の秋風 (※2)さ夜ふけて ふるさと寒く (※3)衣うつなり


ひらがなでの読み方

みよしのの やまのあきかぜ さよふけて ふるさとさむく ころもうつなり



現代語訳

吉野の山に秋風が吹き渡り夜も更けてきました。古都では寒々と衣を打つ(音が聞こえてくる)ことです。


解説・鑑賞のしかた

この歌の詠み手は、平安時代後期から鎌倉時代前期の公卿・歌人飛鳥井雅経(あすかい まさつね)です。百人一首には、参議雅経(さんぎまさつね)と表記されます。

「み吉野」と古都に敬意をもって詠み始めてはいますが、「秋風が吹き渡る」、「寒々としている」、「砧で衣を打つ音が響く」など、全体として静寂とした雰囲気を表現しています。


主な技法・単語・文法解説

単語

(※1)み吉野吉野を褒めたたえた言い方。「み」は接頭語。
(※2)さ夜夜のこと。和歌では「さよふけて」と詠まれることが多い。
(※3)衣うつつやを出したり柔らかくするため砧(きぬた)と呼ばれる木槌で衣服を打つこと。「砧」は秋の季語。



(※1)歌枕

「吉野」が歌枕。歌に詠み込まれている名所のことを歌枕という。以下に例を記す。

【逢坂の関】
これやこの行くも帰るも別れては知るも知らぬも逢坂の関

【生駒山】
君があたり見つつを居らむ生駒山雲な隠しそ雨は降るとも


本歌取り

この歌は、古今和歌集に収録されている

み吉野の 山の白雪積もるらし ふるさと寒く なりまさるなり

という歌をもとにしたものです。すでにある歌をオマージュに新しい歌を詠む技法を本歌取りといいます。


句切れ

句切れなし。


品詞分解

※名詞は省略しています。



み吉野
格助詞
格助詞
秋風
さ夜
ふけカ行下二段活用「ふく」の連用形
接続助詞
ふるさと
寒くク活用の形容詞「さむし」の連用形
うつタ行四段活用「うつ」の終止形
なり推定の助動詞「なり」の終止形



著者情報:走るメロスはこんな人

学生時代より古典の魅力に取り憑かれ、社会人になった今でも休日には古典を読み漁ける古典好き。特に1000年以上前の文化や風俗をうかがい知ることができる平安時代文学がお気に入り。作成したテキストの総ページビュー数は1,6億回を超える。好きなフレーズは「頃は二月(にうゎんがつ)」や「月日は百代の過客(くゎかく)にして」といった癖のあるやつ。早稲田大学卒業。
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全訳読解古語辞典 第四版 三省堂
ベネッセ全訳古語辞典 改訂版 Benesse

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