さす/注す/点す
このテキストでは、サ行四段活用の動詞「
さす/注す/点す」の意味、活用、解説とその使用例を記している。
「さす」には
①射す/差す/指す
②刺す
③注す/点す
④使役の助動詞
などの用法があるが、ここでは「③注す/点す」を扱う。
サ行四段活用
未然形 | ささ |
連用形 | さし |
終止形 | さす |
連体形 | さす |
已然形 | させ |
命令形 | させ |
■意味1:他動詞
(炭などを)
継ぎ足す、加える。
[出典]:徒然草
「八幡の御幸に供奉の人、浄衣を着て、手にて炭をさされければ...」
[訳]:石清水八幡宮の御幸にお共をした人が、浄衣を着て、手で炭をおつぎになったところ...
■意味2:他動詞
水や酒などを注ぐ、酒をすすめる。
[出典]:
渚の院 伊勢物語
「交野を狩りて天の河のほとりに至るを題にて、歌詠みて杯は
させ。」
[訳]:交野で狩りをおこなって、天の川のほとりに行き着いたことを題にして、歌を詠んで杯に
そそぎなさい。
■意味3:他動詞
点火する、火を灯す。
[出典]:徒然草
「紙燭さして、くまぐまを求めしほどに..」
[訳]:紙燭を灯して、隅々まで探していたところ...