史記『鴻門之会』
ここでは史記の中の『鴻門之会』(沛公已去、間至軍中〜)の原文(白文)、書き下し文、現代語訳とその解説を記しています。
※前回のテキスト:
『鴻門之会・沛公虎口を脱す』(沛公已出〜)現代語訳
白文(原文)
沛公已去、間至軍中。
張良入謝曰、
「沛公不勝桮杓、不能辞。
謹使臣良奉白璧一双、再拝献大王足下、玉斗一双、再拝奉大将軍足下。」
項王曰、
「沛公安在。」
良曰、
「聞大王有意督過之、脱身独去。
已至軍矣。」
項王則受璧、置之坐上。
亜父受玉斗、置之地、抜剣、撞而破之曰、
「唉、豎子不足与謀。
奪項王天下者、必沛公也。
吾属今為之虜矣。」
沛公至軍、立誅殺曹無傷。
つづく:
史記『項王暴挙・楚人沐猴而冠耳』(居数日、項羽引兵西〜)書き下し文・現代語訳と解説
書き下し文
沛公已に去り、間くにして軍中に至る。
張良入りて謝して曰はく、
「沛公桮杓に勝へず、辞すること能はず。
謹みて臣良をして白璧一双を奉じ、再拝して大王の足下に献じ、玉斗一双をば、再拝して大将軍の足下に奉ぜしむ。」と。
項王曰はく、
「沛公安くにか在る。」と。
良曰はく、
「大王之を督過するに意有りと聞き、身を脱して独り去れり。
已に軍に至らん。」と。
項王則ち璧を受け、之を坐上に置く。
亜父玉斗を受け、之を地に置き、剣を抜き、撞きて之を破りて曰はく、
「唉、豎子与に謀るに足らず。
項王の天下を奪ふ者は、必ず沛公ならん。
吾が属今に之が虜と為らん。」と。
沛公軍に至り、立ちどころに曹無傷を誅殺す。
つづく:
史記『項王暴挙・楚人沐猴而冠耳』(居数日、項羽引兵西〜)書き下し文・現代語訳と解説
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