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宇治拾遺物語『空を飛ぶ倉』(そこに小さき堂を建てて~)わかりやすい現代語訳と解説

著者名: 走るメロス
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宇治拾遺物語『空を飛ぶ倉』原文・現代語訳と解説

このテキストでは、宇治拾遺物語の一節「空を飛ぶ倉」の「そこに小さき堂を建てて、据ゑ奉りて、えもいはず行ひて〜」の現代語訳・口語訳とその解説を記しています。この話は「信貴山縁起絵巻」の一節として知られているものです。書籍によっては、「飛倉の巻」や「山崎長者の巻」などと題されるものもあります。

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宇治拾遺物語とは

宇治拾遺物語は13世紀前半ごろに成立した説話物語集です。編者は未詳です。


あらすじ

信濃国(現在の長野県)にとある僧がいました。田舎だったために彼は受戒(僧になるための儀式)を受けずに僧になっていました。(僧になるためには、位の高い僧から受戒を受ける必要がありました)。そのために彼は、「東大寺に行って受戒を受けよう」といろいろと計画をたてて、見事に東大寺で受戒を受けることに成功します。

さて、受戒をうけてきちんとした僧になったはいいですが、「田舎に帰ったところで僧として活躍できる場があるわけでもないし」ということで、奈良に住みつくことにしまた。いい感じの山にこもって熱心に修行を始めるわけですが、あるとき毘沙門天の厨子仏を授かります。


原文

そこに小さき堂を建てて、据ゑ奉りて、えもいはず行ひて、年月経る程に、この山の麓に、いみじき下種徳人ありけり。

そこに聖の鉢は常に飛び行きつつ、物は入れて来けり。大きなる校倉のあるをあけて、物取り出だす程に、この鉢飛びて、例の物乞ひに来たりけるを、

「例の鉢来にたり。ゆゆしくふくつけき鉢よ。」


とて、取りて、倉の隅に投げ置きて、とみに物も入れざりければ、鉢は待ち居たりける程に、物どもしたため果てて、この鉢を忘れて、物も入れず、取りも出ださで、倉の戸をさして、立ち帰りぬるほどに、とばかりありて、この倉すずろにゆさゆさと揺るぐ。

「いかにいかに。」


と見騒ぐ程に、揺るぎ揺るぎて、土より一尺ばかり揺るぎあがる時に、

「こはいかなる事ぞ。」


と、怪しがりて騒ぐ。

まこと、まこと、ありつる鉢を忘れて取り出でずなりぬる、それがしわざにや。」


などいふ程に、この鉢、倉より漏り出でて、この鉢に倉乗りて、ただ上りに、空ざまに一二丈ばかり上る。さて飛び行く程に、人々見ののしり、あさみ騒ぎ合ひたり。倉の主も、更にすべきやうもなければ、

「この倉の行かむ所を見む。」


とて、後に立ちて行く。そのわたりの人々もみな走りけり。さて見れば、やうやう飛びて、河内国にこの聖の行ふ山の中に飛び行きて、聖の坊の傍に、どうと落ちぬ。

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