若武者は
若武者:「さっさと討ち取れ!」
と気丈に言い放ちます。直実はあまりにもかわいそうに思い、どこに刀を刺すばよいのかもわからず、前後ろもわからないぐらい気が動転していましたが、そうとも言っていられないので、泣く泣くこの若武者の首を切りました。
直実は、
直実:「弓矢を見につけて戦う者の定めほど、悔やまれるものはない。武士の家に生まれなければ、このような思いをせずにすんだものを。」
と嘆き、そでに顔をあてて泣き続けました。
ふと直実は、若武者が身に着けていた袋の中から、一本の笛を見つけました。戦いの中でも笛を見につけているという若武者の気品の高さに、戦いの最中にいた武士たちは心を打たれました。
のちに、この若武者が、平清盛の弟である平経盛の息子、平敦盛(17歳)であったことを知った直実は、さらに出家して彼の供養をしてあげたいという気持ちが強まるのでした。
関連テキスト
・平家物語『
祇園精舎・冒頭』
・平家物語『
宇治川の先陣』
・平家物語『
能登殿最期・壇ノ浦の合戦』
・平家物語『
敦盛の最期』
・平家物語『
忠度の都落ち』
著者情報:走るメロスはこんな人
学生時代より古典の魅力に取り憑かれ、社会人になった今でも休日には古典を読み漁ける古典好き。特に1000年以上前の文化や風俗をうかがい知ることができる平安時代文学がお気に入り。作成したテキストの総ページビュー数は1,6億回を超える。好きなフレーズは「頃は二月(にうゎんがつ)」や「月日は百代の過客(くゎかく)にして」といった癖のあるやつ。早稲田大学卒業。