源氏物語『葵』のわかりやすいあらすじ・主な登場人物の紹介
このテキストでは、
源氏物語の第九帖『
葵』(あおい)のあらすじを短くわかりやすく記しています。その他、現代語訳や主な登場人物などもまとめています。
葵のあらすじ
この章の主な登場人物は、光源氏の正室の
葵の上と、愛人の六条御息所(ろくじょうみやすどころ)です。葵の上は、光源氏と結婚して10年ほど経ちましたが、浮気を繰り返す夫との関係は良好とは言えませんでした。しかし、自身の懐妊を機に光源氏の愛情を感じるようになっていました。一方、六条御息所は光源氏の最も早い時期からの愛人ですが、光源氏とは疎遠になっていました。
賀茂祭に参列することになった光源氏を一目見ようと、葵の上と六条御息所は、それぞれ牛車に乗って見物に出かけました。最初に着いて場所取りをしていたのは六条御息所でしたが、後からきた葵の上の使用人に牛車を壊され、屈辱的な仕打ちを受けました。六条御息所はこの一件で、葵の上をひどく恨むようになりました。
出産が近づくにつれ、葵の上は、病で伏せるようになります。その原因が生霊となった六条御息所と知った光源氏は愕然とします。難産のすえに男の子(のちの夕霧)を出産した葵の上は、容体が急変し亡くなってしまいました。自身の恨みが葵の上を呪い殺したと悟った六条御息所も、光源氏との関係を断ち都を離れる決心をしたのでした。
葵の上の四十九日が済んだのち、光源氏は
紫の君を妻とします。兄(父)と慕っていた光源氏からの求愛に戸惑いを隠せない若紫でしたが、光源氏はこれを機に、世間に二人の関係を公表することとしました。
■現代語訳
源氏物語『葵・車争ひ』(大殿には、かやうの御歩きも〜)のわかりやすい現代語訳と解説
源氏物語『葵・車争ひ』(日たけゆきて、儀式もさざとならぬ〜)のわかりやすい現代語訳と解説
源氏物語『葵・物の怪の出現』(まださるべきほどにもあらず〜)の現代語訳と解説
源氏物語『葵・物の怪の出現』(あまりいたう泣き給へば〜)の現代語訳と解説
主な登場人物
■光源氏(22歳~23歳の春)
■葵の上
左大臣の娘で光源氏の最初の正妻。母は桐壺帝の姉妹であり、光源氏とは従兄妹同士にあたる。
■六条御息所(ろくじょうみやすどころ)
光源氏の最初期からの恋人。もともと嫉妬深い性格で、疎遠となっていた光源氏のことを独占したいと思っていた。押し殺してきた嫉妬心に加え、賀茂祭での一件を機に、生き霊として葵の上を苦しませる。
■紫の君
葵の上の四十九日が終わったのち、光源氏は紫の君と結婚。
源氏物語とは
源氏物語は平安中期に成立した長編小説です。一条天皇中宮の藤原彰子に仕えた
紫式部が作者とするのが通説です。
おすすめの書籍
【あさきゆめみし】
源氏物語は、文字で読むには非常に難解な物語だと思います。一人の人物を指す言葉が何パターンもあるというのが理由の一つです。例えば第一帖「
桐壺」に出てくる
・男御子
・御子
・君
・若宮
・宮
・源氏の君
・光る君
・源氏
という言葉はすべて、光源氏のことを指しています。光源氏の初恋の相手である藤壺を指す言葉は「先帝の四の宮、后の宮の姫宮、藤壺、御方、宮、かかやく日の宮」、桐壺更衣をいじめる弘徽殿女御を指す言葉は「右大臣の女御、一の御子の女御、弘徽殿、御方、女御、弘徽殿の女御、春宮の女御」と、非常に多くの表現が用いられており、このことが源氏物語を読みづらくしている要因の一つだと思います。そこでお勧めなのが漫画でイメージを掴むことです。特にここで紹介する
あさきゆめみしは、半世紀近く読み親しまれてきた漫画の決定版だと思います。
読むのが難解な源氏物語を、まずは漫画で気軽に感じてみてはいかがでしょうか。
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